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三菱重工の稼ぎ頭は大丈夫ですか?

木村和明副社長に聞く
三菱重工の稼ぎ頭は大丈夫ですか?

三菱重工のターボチャージャー技術(公式ホームページより)

 三菱重工業が量産品の収益拡大を見込める産業・社会基盤分野のテコ入れを進めている。物流機器の新会社設立に加えて、需要が高まる空調機器や自動車用ターボチャージャー(過給器)への設備投資を増やしている。国産ジェット旅客機「MRJ」の開発投資が膨らみ、ガス火力発電設備も低調な状況で、同分野が稼ぎ頭だ。木村和明副社長に今後の展開を聞いた。

 ―設備投資の状況は。
 「冷熱機器事業でタイに第3工場、中国・山東省青島市に新工場をそれぞれ建設し、ディーラー網の強化にも費用を投じている。フォークリフト事業でも投資を通じて工場の統合を進めている」

 ―過給器の生産自動化を進めています。
 「相模原市中央区の工場をモデルにした自動化ラインを各工場に導入している。生産設備を整えるのにそれほど時間がかからない。ITも活用しながら生産性を高める」

 ―電気自動車(EV)の普及は過給器事業にとって逆風ですか。
 「新興国を中心に自動車の台数が増える見通しで、全てがEVなわけではない。一定の割合をエンジン車が占めることで、過給器の販売を伸ばす余地がある。昨年の過給器の世界生産台数が1000万台弱だったが、今年は1100万台を見込んでいる」

 ―エンジン市場では米ゼネラル・エレクトリック(GE)が産業用ガスエンジン事業の売却を発表し、先行きに不透明感が出ています。
 「我々はエンジンの品ぞろえが豊富だが、売れているものと、そうではないものが分かれている。そのため選択と集中が必要だ。データセンター(DC)や病院など自前で電源をまかなう場所で、発電のニーズを見込める」

 ―ジェイテクトとの工作機械事業の提携協議を中止しました。
 「旋盤など(販売量が多い)ボリュームゾーンの製品を生産しておらず、ジェイテクトとは製品の補完性が良いことから協議してきた。将来の思惑が違ったためにやめてしまったが、工作機械は営業黒字化しており、収益性をさらに高められる」
木村和明副社長
日刊工業新聞2018年7月24日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
三菱重工は産業・社会基盤分野の2020年度売上高を17年度比5・3%増の2兆円に増やすことを目指す。物流機器をはじめとする量産系だけでなく、製鉄機械やエンジニアリングなどの受注環境も改善している。17年度までの中期経営計画では全社計画が未達だっただけに、今後は同分野が浮沈のカギを握っている。 (日刊工業新聞社・孝志勇輔)

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