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世界のトップランナーへ旗印、日系の新車販売は50年に100%電動車化

経産省が目標設定
世界のトップランナーへ旗印、日系の新車販売は50年に100%電動車化

日本車の環境性能を高めつつ温室ガスの排出削減を実現する(日産「リーフ」=イメージ)

 経済産業省は24日、2050年までに世界における日系メーカーの新車販売をすべて電気自動車(EV)など電動車とする目標を設定した。車1台当たりの温室効果ガス排出量を10年比約8割減らす目標を設定。同ガスの削減に向け、電動化技術の革新や電池調達・再利用市場の整備を進めて電動車の普及を喚起し、現在約30%の電動車率を100%に引き上げる。

 世耕弘成経産相主宰の有識者会議「自動車新時代戦略会議」で中間整理を行った。電動車はEV、プラグインハイブリッド車(PHV)、ハイブリッド車(HV)、燃料電池車(FCV)を対象とし、これらを「xEV」と総称した。世耕経産相は会議で「xEVを世界全体に普及させて、地球規模でのゼロエミッション(排出ゼロ)にチャレンジする」と語った。

 戦略では日本車の環境性能を世界最高水準に高めつつ、水素燃料などを活用し温室効果ガスの排出削減を実現する。18年度は、電動化技術開発の工程表作成に着手。またリユース(再使用)市場の整備に向け、電池性能の評価手法などを検討する。削減目標の達成時には、純粋なガソリン車の新車販売はゼロになると想定している。会議に参加したメーカー側の反対意見はなかったという。

 自動車業界では電動化を軸に産業構造が変化し、特にEV市場は中国勢が席巻する。経産省は18年秋に各国の政策担当者を集めて会議を開き、今回の政策を発信。国際協調体制を整え、日本の自動車産業が電動化の分野で主導的な立場になるよう後押しする。
日刊工業新聞2018年7月25日
中西孝樹
中西孝樹 Nakanishi Takaki ナカニシ自動車産業リサーチ 代表
「2050年までに100%電動車化」という文言が解りやすいためこの部分が協調されているが、自動車新時代戦略会議での大切な方向性とは、Well-to-Wheelの視点でゼロエミッションを日本のみならず世界が目指すべき方向としてリードするところにある。危機的な温暖化を止めるには、パリ協定での2℃シナリオを実現しなければならない。それを可能とする環境性能水準とは、乗用車1台あたり温室効果ガス9割削減が求められる。その時には乗用車の電動車(xEV)率は100%に達するだろうという論点だ。xEVで日本は世界のトップランナーとなる強い意志と旗印を掲げたもの。

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