マンガ制作にAI生かせ!印刷各社の新たな生きる道

作業の効率化に品質の向上も。技術開発が競う

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イーコミックス クリーン プラスの画像(右)は従来画像よりも細線の表現が改善された
  印刷各社が人工知能(AI)を使い、漫画の制作や配信に有用な技術を開発している。人の作業の半分をAIが担うサービスも登場した。書籍の電子化が進み、スマートフォンやタブレット端末などで漫画を読む人も少なくない。AIを活用すればデータ化の際の細かな作業を効率化でき、漫画の製品としての質も高められる。

  電子書籍化の際、漫画に影や柄をつけるために使われる「スクリーントーン」の部分に縞(しま)やまだらの模様「モアレ」が発生する場合がある。共同印刷はAIを使い、モアレを防ぐ技術「イーコミック スクリーン プラス」を開発した。

  同技術はスクリーントーンの領域をAIに学習させることで、従来技術「イーコミック スクリーン」に比べてスクリーントーンの抽出精度を向上した。対象部分にのみモアレ軽減処理を施せるため、文字や画線はシャープなまま、スクリーントーンのモアレを抑制した電子書籍が作成できる。従来技術ではスクリーントーンを認識できない場合があり、本来はシャープな線の部分がぼけることがあった。

 モアレは、規則正しく分布した線や網点が重なり合ったときに生じる。画像リサイズ処理などをすると、原作には存在しなかったモアレが出てきてしまうことがあるという。

 同社IT統括本部IT技術開発部の伊藤貴彦担当課長は「原画にないモアレが出ることは、原画とイメージが違うことになるため問題になる」と指摘する。出版社の編集者や漫画家から、原画にないモアレはなくすよう指示を受けることもあるという。同社は出版社などに新技術の利用を提案し、漫画関連の受注で2021年度に10億円の売り上げを目指す。

 大日本印刷は、AIを使ってモノクロの漫画データを着色するサービスを18年度に商用化する。同サービスは各コマに書かれた内容をAIが判断して着色し、同社の漫画専門のエンジニアが、トーンの変更など細かい修正をする。着色作業の半分をAIが担う形だ。

 人が漫画の着色をする場合、1枚のイラストに1日程度要する場合もあるが、同サービスを使えば時間を半分程度に短縮できるという。内容によっては1コマ10秒程度で着色が可能。

 海外の電子コミック市場ではカラー漫画が主流という。同サービスは、モノクロの作品が多い日本の漫画を輸出する際に有用という。漫画の出版を手がける企業に利用を提案し、20年度に2億円の売り上げを目指す。

日刊工業新聞2018年7月25日

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漫画は、クールジャパン戦略で掲げる日本の魅力の一つ。日本の漫画を世界に届けたいと考える出版社にとって、印刷各社のアイデアの活用がカギになりそうだ。 (日刊工業新聞社・福沢尚季)

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