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ダイキンやクボタなど、納期10日未満に挑む

機械メーカーがIoT活用で差別化
ダイキンやクボタなど、納期10日未満に挑む

ダイキンのビル用空調の生産ライン

 機械メーカーが業務用製品の納期を、10日未満に短縮する取り組みが広がっている。ダイキン工業は生産システムなどを刷新し、ビル用空調の納期を従来の半分以下となる9日に抑えた。クボタは工場にIoT(モノのインターネット)を採用。不具合を速やかに修正できるようにし、小型建設機械の納期を最短12日から9日に短縮した。国内市場が成熟化する中、性能だけでなく、顧客が必要な時に供給できる体制を極めて差別化につなげる。

 多品種少量生産品の納期を短縮する現場改善手法の一つとして、治具交換などの段取り替え時間を10分未満に抑える「シングル段取り」がある。段取り時間を1ケタに縮める。こうした改善の積み重ねが、納期を10日未満に縮める“シングル納期”に発展する例が増えつつある。

 ダイキンはビル用空調の標準品をシングル納期の対象とする。6月に稼働を始めた堺製作所臨海工場(堺市西区)は、IoTを取り入れ生産を効率化。また、完成品をすぐに出荷できる配置にしたほか、受発注システムを一新し、営業部門と工場の連携を密にした。

 ビル用空調の需要は堅調だが、「性能で差別化しにくくなっている」(神野仁志執行役員)という。そのため、三菱電機などとの価格競争が厳しい。一方、顧客が今すぐ欲しい時に素早く供給できれば、「競合がいない状況」(同)となり、値下げ圧力の回避につながる。

 クボタは小型建機を生産する枚方製造所(大阪府枚方市)にIoTなどを導入。不具合を検知し、即時に修正する仕組みなどを導入した。業務用空調と同様、建機は品種が多いため在庫を持たない場合が多い。顧客が望む時に製品を供給し、顧客満足度を高める。

 コイズミ照明(大阪市中央区)も、ホテルや商業施設向け照明の納期を10日以内に短縮しつつある。生産時間を短縮するため、部品の内製化を推進。納入先の内装などが急に変更されても、対応しやすくする狙いだ。
クボタはIoTで不具合を検知してすぐに修正する仕組みを導入
日刊工業新聞2018年7月17日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
過当競争が続く中、性能だけで差別化するのは難しい。納期はコスト削減と並ぶ、モノづくりの重要なテーマ。単に納期を縮めるだけではなく、「すぐに手に入る」といった顧客の価値にどう結びつけるか。シングル納期を実現する各社の取り組みは、競争力を左右する条件の一つになりそうだ。 (日刊工業新聞社大阪支社・平岡乾)

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