衛星データ活用ビジネス1000億円超へ、需要の掘り起こしどうする?

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衛星データの幅広い利活用を進める(だいち2号=JAXA提供)
 総務省は人工衛星データを活用した新産業創出を加速する。データの取得や解析を高度化する技術開発を推進するほか、データ活用の方法などを専門家が企業に助言する体制を整える。空き家の把握といった地方自治体などの需要が見込めるサービスの構築を後押しし、確実な事業化につなげる。一方、衛星データ活用市場の大幅な成長に向けて潜在需要の掘り起こしは課題になる。

 宇宙産業は、衛星製造や打ち上げの低コスト化などが進み、成長が期待されている。特に人工知能(AI)や情報通信技術(ICT)との組み合わせで新市場の創出が見込まれる。

 その一つが衛星データ活用事業。衛星画像や大気データなどの衛星データと地上データの連携によるサービスだ。総務省は14年時点でわずか56億円だった国内市場について、30年代早期に約18・5倍の1040億円に拡大する目標を掲げている。

 その中で総務省は空き家の把握や土砂災害の予測といった地方自治体などが抱える課題の解決につながり、需要が確実に見込める事業構築を推進する。具体的には衛星データの取得や解析を高度化するセンサーやAI技術について研究開発する競争的資金制度を19年度に立ち上げる。競争的資金は企業などから研究テーマを公募し、研究を委託する仕組み。委託先を判断する際に既存の課題を解決する事業の構築につながるか審査するという。

 総務省所管の情報通信研究機構(NICT)は、19年1月にハッカソン(ソフトウエアなどの開発を競うイベント)を開く予定。既存の課題を解決する事業アイデアを募り、優秀な提案を表彰する。このほか、NICTや宇宙航空研究開発機構(JAXA)の研究者などから企業が事業構築に向けて助言を受けられる体制も整える。

 一方で、既に顕在化している課題を解決する事業だけでは市場の大幅成長は望めない。総務省宇宙通信政策課の中谷純之衛星開発推進官は「衛星データの活用に関心の薄い業界の潜在需要を開拓しなければ(1040億円の)市場目標は到底達成できない」と力を込める。

 このため総務省は、現状は衛星データが活用されていない金融業界や製造業界などに対し講演などを通じて直接活用を働きかけ、各業界の潜在需要を掘り起こす構えだ。こうした地道な活動の成否は市場拡大のカギを握りそうだ。

日刊工業新聞2018年7月17日

COMMENT

葭本隆太
デジタルメディア局DX編集部
ニュースイッチ編集長

衛星データ活用事業として期待される一つに衛星画像を活用した土砂災害の予測が挙げられます。土砂災害は大雨の影響で起こりますが、どのタイミングで発生するかは予測が非常に難しいと言われています。衛星画像という新たなデータの活用により、イノベーションが起きることを期待します。

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