日本版「ファンタジースポーツ」、プロ野球選手のデータでよりリアルに

NTTドコモ子会社がサービス、広告につなげる

 米国で人気のファンタジースポーツ。オンライン上で好きな選手を選んで架空のチームを作り、相手チームと対戦するゲームだ。実在の選手を集め、その選手のシーズン中の成績に連動するのが特徴だ。野球の場合、ホームランなら4点、三振ならマイナス1点というようにポイントが上下し、合計ポイントで勝敗を決め、順位付けされる。ユーザーは参加料に応じ、賞金を手にする。

「日本向けにアレンジして提供する」。NTTドコモ子会社のNTTドコモ・ベンチャーズ(東京都港区)が出資するグラッドキューブ(大阪市中央区)の金島弘樹社長はこう語る。日本で同じように参加料を払って賞金を得るのは、スポーツ賭博にあたる。

 そこで、同社はファンタジースポーツに近い形で日本向けにカスタマイズしたスマートフォンゲーム「リアルリンクス」を開発、4月下旬に提供を始める予定だ。

 プロ野球選手でオリジナルのチームを作る。選手のリアルタイムデータが反映され、ポイントで競うのは米国と同じ。異なるのは換金しない点。日本版では主にチームに有力な選手を登録する際に課金したり、また賞金の代わりにポイント上位のユーザーには課金では獲得できないような優秀な選手を登録できる特典が与えられたりする。

 ユーザーは自分のチームを作る際、調子に波がある選手は使いたくない。そのため、チームや選手の統計データを分析し、さまざまな選択肢から選んでチームを作る。その分析力を競い合うのがこのゲームの醍醐味(だいごみ)で、米国で高学歴の若い人たちの間で流行しているのもそのためだという。選手のデータはファンタジースポーツの運営会社が提供している。

 日本版ではグラッドキューブが自社のスポーツ解析メディア「スパイア」を通じ、選手の打率、得点、出塁率など多様なデータを提供。これをユーザーがリアルリンクスに活用する仕組みを想定する。データ提供は無料だが、スパイアの閲覧数を増やして広告ビジネスにつなげる狙いもある。

 金島社長はリアルリンクスについて「自分で選手を選んでチームを作り、友達同士で競い合える。ユーザーの保有への欲求や社会性への欲求を満たすものとして人気が高まれば」と話す。ドコモはリアルリンクスを足がかりに日本での浸透具合を見極め、今後の事業化を検討する。

 日本は2019年のラグビーワールドカップ、20年東京五輪・パラリンピックなどの世界的なイベントを控えている。これを商機と捉え、ニーズを取り込めるか。携帯電話市場の伸び悩みが見込まれる中、ドコモにとって通信以外の成長領域での収益化が欠かせない。
(文=清水耕一郎)

日刊工業新聞2018年4月18日

日刊工業新聞 記者

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04月18日
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NTTドコモがベンチャー企業と組み、欧州や米国で普及するスポーツソリューションの事業化に乗り出している。観客の興味を沸かせたり、人工知能(AI)を用いたチームのデータ解析で戦術に役立てる仕組みの提供を模索する。欧米の先進事例を日本流にカスタマイズして収益化できるかが勝負。
(日刊工業新聞・清水耕一郎)

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