楽天が地方で生み出す新たな経済圏
全国28の自治体と連携協定
地方創生が叫ばれ、自治体と連携する企業が増えている。楽天も全国28の自治体と包括連携協定を結ぶ。
ネット販売のアドバイザー業務を担う佐賀県では、電子商取引モール「楽天市場」に出店する県内の店舗経営者の集会を開く。ネット上の“仮想商店街”にいる店主にあえて現実世界で集まってもらうのは、優秀な店主から商売のこつを聞き出すため。ネット販売成功のノウハウが共有されて他店の販売も伸びると、県には税収になる。
大分県では県内の有力ネット店舗を介し、地元メーカーの商材を売る協力をしている。楽天地域活性課の塩沢友孝シニアマネージャーは「売るプロとつくるプロを掛け合わせ、県外へ売る力をつける」と狙いを語る。地元企業の仕事量が増え、県内にとどまる富の増加が期待できる。
「1997年の開設から楽天市場は地方創生そのもの」(塩沢シニアマネージャー)と強調する。地方の商店の商圏は限られ、人口減少が進むと業績は先細りする。それが楽天市場に出店すると商圏が全国へと広がる。
高校生に電子商取引を教える「楽天IT学校」も地域振興だ。「ウェブで商品を売るスキルが身につけば若者も地域に残る」(同)と考えて2008年に開校し、10年間で7000人近くが受講した。
楽天が地域支援に力を入れるのは、自社のためでもある。魅力的な商品を扱う地方店舗の稼ぐ力が衰えると、楽天市場も活気を失うからだ。
17年、社員、出店者などに聞き取り、同社の重要課題の一つに「地域コミュニティーを持続可能に」を設定した。金融やスポーツへと事業が多角化しても、地域の課題解決が経営の持続可能性に欠かせない。
協定を結んだ28の自治体が抱える課題はさまざまだ。CSR推進グループの眞々部貴之マネージャーが「楽天のビジネスアセットで課題を解決する」と語るように、提供する解決策は電子商取引だけではない。
岐阜県飛騨市とは電子マネー「楽天Edy」を軸に協力する。市の出身者など飛騨と縁のある人に電子マネー付き「飛騨ファンクラブ会員証」カードを発行する。そのカードによる購入金額の一部が市へ寄付される。東京に住む会員でも普段の買い物で飛騨を応援できる仕組みだ。
地方創生はSDGs(持続可能な開発目標)の目標10(平等)、11(まちづくり)に当てはまる。楽天のアセットとSDGsとの掛け合わせで、新たな地域経済圏が生まれる。
ネット販売のアドバイザー業務を担う佐賀県では、電子商取引モール「楽天市場」に出店する県内の店舗経営者の集会を開く。ネット上の“仮想商店街”にいる店主にあえて現実世界で集まってもらうのは、優秀な店主から商売のこつを聞き出すため。ネット販売成功のノウハウが共有されて他店の販売も伸びると、県には税収になる。
大分県では県内の有力ネット店舗を介し、地元メーカーの商材を売る協力をしている。楽天地域活性課の塩沢友孝シニアマネージャーは「売るプロとつくるプロを掛け合わせ、県外へ売る力をつける」と狙いを語る。地元企業の仕事量が増え、県内にとどまる富の増加が期待できる。
「1997年の開設から楽天市場は地方創生そのもの」(塩沢シニアマネージャー)と強調する。地方の商店の商圏は限られ、人口減少が進むと業績は先細りする。それが楽天市場に出店すると商圏が全国へと広がる。
高校生に電子商取引を教える「楽天IT学校」も地域振興だ。「ウェブで商品を売るスキルが身につけば若者も地域に残る」(同)と考えて2008年に開校し、10年間で7000人近くが受講した。
楽天が地域支援に力を入れるのは、自社のためでもある。魅力的な商品を扱う地方店舗の稼ぐ力が衰えると、楽天市場も活気を失うからだ。
17年、社員、出店者などに聞き取り、同社の重要課題の一つに「地域コミュニティーを持続可能に」を設定した。金融やスポーツへと事業が多角化しても、地域の課題解決が経営の持続可能性に欠かせない。
協定を結んだ28の自治体が抱える課題はさまざまだ。CSR推進グループの眞々部貴之マネージャーが「楽天のビジネスアセットで課題を解決する」と語るように、提供する解決策は電子商取引だけではない。
岐阜県飛騨市とは電子マネー「楽天Edy」を軸に協力する。市の出身者など飛騨と縁のある人に電子マネー付き「飛騨ファンクラブ会員証」カードを発行する。そのカードによる購入金額の一部が市へ寄付される。東京に住む会員でも普段の買い物で飛騨を応援できる仕組みだ。
地方創生はSDGs(持続可能な開発目標)の目標10(平等)、11(まちづくり)に当てはまる。楽天のアセットとSDGsとの掛け合わせで、新たな地域経済圏が生まれる。
日刊工業新聞2018年7月10日