鋳造技術で一品モノの生活雑貨

東亜成型がアイデア製品

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社員が仕事中に着るオリジナルTシャツも販売(中央が浦竹社長)
 東亜成型(大阪市西淀川区、浦竹重行社長、06・6474・5688)がユニークなBツーC(対消費者)の販売戦略を打ち出している。同社は自動車シート用の原型モデルなどを砂型鋳造で製造する。金型というモノづくりを支える基盤となる典型的なBツーB(企業間)ビジネスが主力だ。そんな同社が本業の鋳造技術を生かしたアイデア製品で事業展開の幅を広げている。

 砂型鋳造は、木型を用いるため、ダイカストや金型鋳造と比べると費用が安価という利点があるが、量産化には不向き。

 東亜成型は多品種少量向けの特徴を生かし、砂型鋳造でインテリア製品などを手がける。多くの人が、関西弁でしたり顔を意味する“ドヤ顔”になればという思いを込めて「DOYA(ドヤ)」という自社ブランドを立ち上げた。砂型鋳造でスプーンやライト、小物置きなど一品モノの生活雑貨を製造する。展示会にも出展し、製品の知名度向上に努めた。

 浦竹社長はインテリア製品の投入と連動して、町工場を活性化させる目的で、自身がトップを兼務する工場のブランディング会社、アーチジャパン(大阪市浪速区)を2011年に発足させた。アーチジャパンは中小企業のキャッチコピーや会社案内づくりなどを支援する。参加交流型サイト(SNS)を通じて積極的に情報発信をしてきた。

 派手な発信で「自動車シート以外の金型製造の問い合わせも入るようになった」(浦竹社長)という思わぬ効果も生まれた。真空成形用や家電製品向けの金型などの受注が舞い込み、自動車シート用金型の比率は以前の90%から80%に下がったという。「リスク分散としては良い結果」(同)と手応えをつかむ。

 情報発信は採用にも相乗効果をもたらした。中小企業の工場長経験者から応募があり、今夏に入社予定だ。インテリア製品は「これまで既存事業と並行して取り組んできたが、その工場長経験者が中心となる専門部署の発足も検討している」(同)という。

 一方で「本業が多忙になると、雑貨やブランディングへの対応はどうしても難しくなる」と話す。このためアーチジャパンは今後、既存の企画・デザインなどの事業は残しつつ、デザイン事務所と連携し、営業面を委託する計画だ。

 こうして盛り上げてきた“サイドビジネス”だが、同社にとっても踊り場に直面している。転機は浦竹氏の17年の社長就任だ。砂型鋳造から派生したさまざまな取り組みは全て、浦竹氏が社長就任前に立ち上げたもの。それだけに社長の今は社員から「好き勝手やっていると見られるわけにはいかない」(同)と打ち明ける。

砂型鋳造で手がけた小物入れのラック

日刊工業新聞2018年7月6日

COMMENT

自動車業界などからの受注増もあり、砂型鋳造事業は好調。同社のモノづくりが「原点回帰」した現状は、景気回復以上に販売戦略の変革が、本業によい流れを生んだといえるのかも知れない。 (日刊工業新聞社・林武志)

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