社長、今なぜキリンビールは好調なんですか?

布施孝之氏インタビュー

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キリンのウェブサイトより
 キリンビールが攻勢に出ている。主力の「一番搾り」は2017年夏のリニューアルから現在まで売り上げが好調に推移。3月に投入した第三のビール「本麒麟」も絶好調で、年間販売目標を当初計画比50%増の790万ケースに上方修正した。缶チューハイの新ブランド「キリン・ザ・ストロング」も計画を上回るなど好調。布施孝之社長に好調の要因や今後の戦略を聞いた。

―1―6月の販売状況を振り返っていかがでしたか。

「18年度は『ロケットスタート』すると公言した。1―3月は勢いがあり、4―6月も良い感じだった。見事にロケットスタートを実行できた」
キリンビール社長・布施孝之氏

―ロケットスタートの意味合いとは何ですか。

「昨年に会社の課題を踏まえ、現場を回り危機感を共有した。組織の風土を、『お客さま』を判断基準として考えるとともに、現場が主役となるように変革することを目指した。つまり組織を逆ピラミッドのようにひっくり返して現場がメーンとなり、本社が下からサポートする仕組み。今年は変革のスタートという位置付けだ」

―昨年リニューアルした「一番搾り」が好調で、新たに投入した「本麒麟」も絶好調です。

「これら商品が単に“当たった”とは考えていない。現場が顧客を理解しようとした結果がついてきた。成功する確率が高まっていると感じる。そのように意識が変わってくると流通側も我々の商品に対するイメージが強くなってくるようだ」

―ただ、ビールは市場全体の減少傾向が続いているのが気になります。

「確かに、ビール需要は微減が続いているが、一方で第三のビールが伸びたり、缶チューハイが好調だったりと酒類市場全体で見ればステイ(安定的)な状況が続いている。そうした中で、第三のビールでは主力『のどごし〈生〉』のほかに麦系ジャンルの『本麒麟』という新たな柱を立てた。缶チューハイでメーンの『氷結』に高アルコールジャンルで『キリン・ザ・ストロング』という柱を加えた。これら柱を立てた意味合いは大きい」

―下期以降の戦略をどう進めますか。

「選択と集中という絞りの効いた商品戦略は継続していく。主力品を重点としたマーケティングにより、派生商品が増え、投資が分散するのを防ぐ。また、先行きには消費税の引き上げやビール類の酒税一本化もある。中長期で見て、既存製品や新たに立ち上げたモノを含め、支持されるブランドを育成することも必要だ」

日刊工業新聞2018年7月6日

COMMENT

現場の意識改革が奏功した好例。現場が目先の数字にとらわれる状況から、顧客に集中できる環境に転換させた。布施社長が「変革は結果がついてこないと意味がない」と指摘するように、結果が数字に表れてきたことで現場の意識がさらに変わってきたという。この好スタートを次にどうシフトアップするのかが課題と言える。(編集委員・井上雅太郎)

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