IoT時代の製造業、グローバル企業の勝ちパターンに学べ

ロボット革命イニシアティブ協議会、意識改革に乗り出す

 ロボット革命イニシアティブ協議会(RRI)が、視点を広げてビジネスモデル全体を考える「システム思考」を旗印に、産業界の意識改革に乗り出す。あらゆる要素がつながるIoT(モノのインターネット)時代に全体最適化の必要性が高まる中、個別最適に陥りがちな日本企業に警鐘を鳴らす。海外大手は、壮大な構想に基づき巨大市場を狙うシステム思考型の戦略を加速。個々の技術に強い日本の製造業だが、新時代を前に抜本的な変革を求められている。

 「視点を広げて考えよう」―。RRIが14日に公表した「システム思考ガイドブック」は、日本の製造業にこう呼びかける。日本企業はこれまで、個々の優れた技術を「擦り合わせ」でつなぎ、成果を出すことが多かった。だがIoT時代では、従来連携しなかった要素同士までもが、擦り合わせを超える速度でつながる。ビジネスモデルや生産システムは複雑化・巨大化し、個別の技術戦略や設計は全体構想と緊密に連携しなければ、ちぐはぐになる。

 そこでRRIが提唱するのがシステム思考の導入だ。ポイントは広い視野でシステム全体を俯瞰(ふかん)し、構成要素同士の相互作用などに注目すること。製造業ならば、製品ライフサイクルやビジネスモデルなどを考慮した上で技術開発を進めるアプローチが基本になる。

 実際、システム思考はグローバル企業の勝ちパターンになりつつある。米国のグーグルやアマゾンなどIT分野の勝ち組企業は、全体構想を基にビジネスプラットフォーム(基盤)を立ち上げ、そのプラットフォームの価値を最大化する周辺事業を次々と打ち出すことで拡大・発展してきた。技術力を基にボトムアップ主体で成長してきた日本企業とは、対照的だ。

 製造業でも独シーメンスや米ゼネラル・エレクトリック(GE)などが、システム思考で世界の覇権を狙う。両社は顧客サービスを軸にした壮大なビジネス構想を打ち立て、それを基にソフトウエア企業の買収や技術開発を加速。結果、モノの販売からサービス主体のビジネスモデルへ急速に転換しつつある。「サービス型の方がモノ売りより収益が安定し、新興国にも展開しやすい」と、ある有識者は背景を分析する。

国内審議団体活動本格化へ 一部規約を改正


 ロボット革命イニシアティブ協議会(RRI)は14日、都内で第4回総会を開いた。2018年度からスマートマニュファクチャリング(次世代モノづくり)の国際標準化に向けた国内審議団体として活動を本格化するため一部規約を改正した。大宮英明会長(三菱重工業会長)は「世界と連携した標準化整備作業が開始される」とした上で「産業界の皆さまの一層のご協力が不可欠」と会員に協力を求めた。

 規約改正により国内審議団体としての活動について、費用負担などの規定を自ら定められるようにした。5月に国際電気標準会議(IEC)におけるスマートマニュファクチャリングの議論でRRIが日本の国内審議団体になることが決定。RRIは18年度から関連活動を強化する。

日刊工業新聞2018年6月15日

日刊工業新聞 記者

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06月15日
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要素技術は今も重要であり、日本の優位が直ちに揺らぐわけではない。ただ“木を見て森を見ず”になりがちな日本企業にとって、難しい時代なのは事実だ。問題意識をどれだけ訴求できるか―。RRIは重要な役割を担うことになる。
(藤崎竜介)

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