「西の果て」長崎が企業誘致に成功する理由

優秀な工学系学生の宝庫

 長崎県産業振興財団(長崎市、田川伸一理事長、095・820・3838)が、人材をキーワードに企業誘致を強化している。直近2年間に12社で1450人の雇用につなげた。「西の果て」と言われる長崎が進出先に選ばれる裏には財団の活動と優秀な人材を輩出する地域特性がある。

 産業振興財団企業誘致推進本部の小宮総一グループ長は「工学系学校の多さと質が一番の強み」と胸を張る。長崎県は都道府県の面積で37番目だが工業高校は5校。立地企業の多くは人材確保のしやすさを理由に挙げる。第一種電気工事士や第三種電気主任技術者の資格合格者が都道府県別で日本一になるなど人材育成への注力も目立つ。

 工業高校の人気も人材のレベルの高さを示す。17年度の進学希望調査でトップの倍率だったのが長崎工業高校建築科で2・5倍。次点は佐世保工業建築科で2・43倍だった。背景には造船を中心とした産業集積がある。観光地であることから、都市圏との交通手段が確保されていることも誘致で有効に働いている。

 オフィス系企業の進出も進む。2014年度以降は保険会社の進出が顕著。事業継続計画(BCP)の一環という企業もある。

 財団は誘致企業に特化した採用支援で人材確保を後押し。長崎と東京、名古屋の計20人の企業誘致グループで1社に2人以上が担当となりワンストップサービスを展開する。

 例えば学校やハローワーク、県などと連携して学生の企業見学ツアーや企業説明会を実施。立地先周辺の賃貸住宅の空き状況について企業から問い合わせがあれば調べる。立地企業の満足度を高めることで工場増設につながるケースも多い。

 17年には長崎市中心部に企業誘致向けオフィスビル「クレインハーバー長崎ビル」が完成した。オフィス系誘致のハード面が充実した。

日刊工業新聞2018年6月8日

日刊工業新聞 記者

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06月08日
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長崎は大都市へ人材を供給し人口流出が進んでいた。だが「仕事があるなら地元に戻りたい」という潜在ニーズがある。財団は20年度までに立地25社・雇用2700人が目標。雇用の場を創出して働く人の定着に今後も汗をかいていく。
(日刊工業新聞社西部支社・増重直樹)

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