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退屈な自動運転システムの監視作業、VRゲームで楽しく

名古屋大がゲーム開発基盤を構築
退屈な自動運転システムの監視作業、VRゲームで楽しく

VRゲーム化イメージ(名大提供)

 名古屋大学未来社会創造機構の石黒祥生特任准教授は、自動運転の監視作業をVR(仮想現実)ゲーム化するためのゲーム開発基盤「ROVエンジン」を開発した。自動運転システムが事故を起こさないように監視する作業は退屈だと想定される。対向車をシューティングゲームのターゲットにするなど、VRゲーム化することで周囲への注意力が途切れないようにする。

 自動運転車両のカメラやレーザーセンサーの計測データや、ダイナミックマップ(3次元地図)情報を元にゲームを作れる。例えば自動運転システムが赤信号を検出するとモンスターが登場し、攻撃していると青信号になるタイミングでモンスターが倒され、車両が動きだすといったゲームを想定する。搭乗者は対戦を通して実質的に信号を認識する。

 車外を完全に別世界にするVRも、実世界にゲーム要素を重ねるAR(拡張現実)にも対応可能。動かないいすに座って行うVRゲームよりも、移動車両に乗って行うVRゲームの方が酔いにくい傾向を確認した。

 赤信号や歩行者など搭乗者に車外を認識してほしい事象をトリガーとしてゲームのアクションを連動させる。自動運転のセンサーなどが向上するとより小さな変化をトリガーにできる。

 今後、トリガーやゲームのアクションのパターンを増やし、ゲームクリエイターがデザインしやすい開発環境を整える。

 自動車だけでなく、トラクターなども自動化が進んでいるが、運転手が注意力を保てなくなる課題があった。一方で運転システムが対向車や歩行者を見逃すと、死亡事故になる可能性もあり、システムがミスしないよう監視することが人間の務めになる。
日刊工業新聞2018年5月30日
葭本隆太
葭本隆太 Yoshimoto Ryuta デジタルメディア局DX編集部 ニュースイッチ編集長
自動運転システムの監視は確かに集中力の持続は難しそうです。記事中には「移動車両に乗って行うVRゲームの方が酔いにくい」とありますが、それも含めて体験してみたい。

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