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2030年以降は暮らしに合わせて家が移動する!?

大和ハウスがコンセプト提案
 大和ハウス工業は、将来の生活スタイル変化やニーズの多様化に備え、技術検討課題として“移動できる家”のコンセプトをまとめた。超高耐久スケルトン(く体)と、高付加価値インフィル(内装や設備)で居住空間のモジュール化を図る。インフィルごと他のスケルトンに移設でき、暮らしに合わせて好きな場所に、好きな形で住みかわれる住宅を構想。未来予測から課題を設定し、戦略的な技術開発に取り組む。

 大和ハウスの総合技術研究所が2030年以降の未来シナリオを検討し、今後の技術開発の方向性として打ち出した。在宅勤務や介護、防災、趣味、スマート化など住宅が、多様なニーズをかなえる場に進化していくと想定。機能を満たすためにインフィルの作り込みによる部屋のモジュール化が必要とした。

 超高耐久かつ施工性が高い、規格化されたスケルトンの集合・戸建て住宅を建設。そこに建材や住宅設備、センサー、ロボット、家電などを一体化して各種機能を果たすインフィルを収容する。インフィルは移設でき、生活ステージに応じて買い替えやリースにも対応。インフィルごと都市と地方間を移動することで、二地域居住も実現していく。

 “移動できる家”の開発目標は設定せず、あくまで技術コンセプトの位置づけ。一方で大和ハウスは、すでに主力の戸建て住宅商品でスケルトンとインフィルを組み合わせる発想を採用している。工業化住宅の利点を生かして安価に多様な高機能インフィルを提供する技術開発を加速。当面はリフォームへの展開を見据える。“移動できる家”は自動車メーカーがショーモデルで提案していたが、ハウスメーカーによる構想は前例がない。
日刊工業新聞2018年5月24日
葭本隆太
葭本隆太 Yoshimoto Ryuta デジタルメディア局DX編集部 ニュースイッチ編集長
住宅・不動産業界にシェアリングエコノミーの概念が入ったら、賃貸物件にライフステージなどに応じて住み替えるのが主流になるのではといった意見を聞くことがあります。家が移動できたら所有しつつ、住み替わりが可能になりますね。

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