賃貸住宅をIoT化したら家賃が5000円上がった

AIスピーカー発売で勢いづくスマートホーム市場

 スマートホームが、より身近になりそうだ。パナソニックは家庭用スマートシステムの中核機器と連携する家電の種類を大幅に拡大し、利便性を向上する。IoT(モノのインターネット)機能を備え付けたアパートを展開するTATERU(タテル)は、モデルルームを公開して快適な生活体験をアピールする。家のスマート化は既存住宅の価値の再創出にもつながる。各社は市場ニーズの高まりも追い風に、新たなビジネスモデルを模索する。

他社製と連携


 パナソニックの「AiSEG(アイセグ)」は、家庭内のエネルギー管理や家電操作ができるシステムだ。当初はパナソニック製品しか連携できなかったが、2017年にダイキンのエアコンに対応。3月に発売した「アイセグ2」では、給湯器や電気鍵など他社連携をさらに強化した。18年度中に連携企業は従来の4社から14社に増え、利用できる製品は27種類に広がる見通しだ。

 アイセグ2の発売時に、パナソニックエナジーシステム事業部の井上真人課長(当時)は、「対象の機種やメーカーを増やし、例えばエアコンであれば(市場の)8―9割の製品まで接続できるようにしたい」と意気込んだ。

 「スマートホームのニーズは高まっている」。井上課長はこう確信する。ただ、その中身は変化を続ける。「4―5年前は省エネニーズが中心だったが、今は“快適”や“便利”に軸が置かれている」。そこで同社はスマートホームの提案で、人工知能(AI)やIoTといったキーワードを打ち出すようシフトしている。

見守りに応用


 アパートの開発や運営を手がけるTATERUは、賃貸住宅を簡単にIoT化できる「TATERUキット」を展開する。センサーを搭載した窓や鍵、照明などとコントローラーをセットにしたシステムで、さまざまな家電を専用アプリケーション(応用ソフト)で操作・管理できる。1月には、東京都練馬区に同キットを備え付けた「IoTアパート」のモデルルームを開設。同社は「想像しにくい“未来の部屋”を体感してもらう」と、狙いを説明する。

 すでに4000室を展開しているIoT賃貸住宅だが、周辺の相場よりも5000円ほど高い家賃で契約を結べているという。しかも入居率は97・5%という高さだ。同社は部屋のスマート化で「付加価値を高められている」という。他社との協業でユーザー向けに、買い物や医療といった生活に便利な情報を提供するサービスも始めた。利便性の高さでIoTアパートをさらに拡大する方針だ。

 パナソニックも住宅に据え付けたスマート機器を活用し、次の展開を模索する。家電を連携するだけでなく、電気やガスなどの利用状況を見える化できることから、見守りなどへの応用を検討中だ。

商機つかめ


 米アマゾンや同グーグルのAIスピーカーの発売で、家電連携や家のスマート化は勢いを増している。家電の連携は、かつては同じメーカーで製品をそろえるための囲い込み戦略の一つだった。しかし今ではメーカーを問わず「機器同士がつながること」が前提となる世界が実現しつつある。その波をとらえて商機をつかめるか。各社の取り組みが今後、本格化しそうだ。
(文・政年佐貴恵)

日刊工業新聞2018年4月18日

葭本 隆太

葭本 隆太
04月18日
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賃貸住宅の入居を促す施策として、入居者がインターネットを無料で使える環境を整えたり、CS放送を視聴できる環境を整えたりする事例は多いです。今後はスマート化がトレンドになるのでしょうか。

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