オフィス家具メーカーが会社帰りの社会人や学生と対話

オカムラがスペースを開設

 東京都港区にオカムラが運営するイベントスペース「Sea」がある。同社社員の他に会社帰りの社会人、学生、地域の人が集まり、主に働き方をテーマにさまざまな立場から意見を出し合う。同社は多様な人が対話をし、解決策を考える場を「共創空間」と呼んでいる。

 「内部からの危機意識があった」。同社フューチャーワークスタイル戦略部の庵原(いはら)悠氏は2015年にSeaを開設した動機を説明する。同社に「働き方のコンサルをしてほしい」という声が顧客から寄せられていた。「うちはオフィス家具を売っているだけ」と断ることはできるが、要望は同社への期待であり、市場ニーズでもある。対応しないとビジネスチャンスを自ら放棄してしまう。

 「働き方改革とオープンイノベーションが必要とされている。オカムラの社員の考え方が古いままだとニーズに応えられない」(庵原氏)と感じ、オフィス家具メーカーの枠から踏み出した。

違う人と発見


 参加者から「普段とは違うネットワークができた」と受け入れられた。違う業界の人と知り合えば、新たな解決策を発見できる。Seaはオープンイノベーションの場となった。次第に「同じ空間をほしい」と企業から求められるようになり、受注につながった。社会貢献的に始めたSeaがビジネスとなり、同じコンセプトの場を大阪、名古屋にも開設した。

 社会課題から事業のヒントを得ることがSDGs(持続可能な開発目標)の活用法。Seaは「働きがい」(目標8)とオープンイノベーションである「パートナーシップ」(目標17)という二つの課題解決に貢献する。

 オカムラ社内も働き方改革を進める。フューチャーワークスタイル戦略部戦略企画室の薄(うすき)良子室長は「ボトムアップが特徴」と語る。「顧客に提案するのに、自分たちが働き方改革を語れないといけない」と問題意識を持った新宿支店から改革がスタート。売上高を維持したまま残業時間を減らす成果が出た。

知見を蓄積


 次々と拠点が名乗りを上げ、18年度は30拠点へと活動が広がった。改革の障害が会社の制度によるものなら人事部に意見を上げ、フレックスタイムや在宅勤務などを利用しやすく改めた。「おかしいと感じていても言うことを諦めている。声を上げていくことが重要」(薄室長)と確信する。社内で知見が蓄積されるほど、働き方への助言を求める顧客に提供できる価値が増える。

日刊工業新聞2018年5月22日

松木 喬

松木 喬
05月24日
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「うちは家具だから、コンサルはできません」。オカムラに限らず「うちは○○屋だから他に当たって」ってあることだと思います。顧客からの声を期待やニーズと思えるかどうか、新規事業のヒントって、身近にあるかもしれません。

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