インドの民族衣装にも、天然原料由来のキュプラ繊維が世界でモテモテ

旭化成、生産能力4%増の1万7200トンに引き上げ

 旭化成は2019年度に宮崎県延岡市で再生セルロース繊維(キュプラ繊維)を増産する。既存工場を増設し、年産能力を現状比4%増の約1万7200トンに引き上げる。着心地の良さに加えて、社会的関心の高いESG(環境・社会・統治)投資などの観点で天然原料由来という特徴から国内外で引き合いが強い。ただ足元の需要増に応え切れておらず、世界唯一の同繊維のメーカーとして供給不足の解消へ手を打つ。

 旭化成のキュプラ繊維「ベンベルグ」は通常廃棄されてしまうコットンリンター(綿実周りの産毛)を利用する。延岡地区の工場で増設や既存設備の改良を施し、小幅ながら増産する。投資額は20億―30億円とみられる。

 同工場は14年に増設し、年産能力を約10%拡大していた。スーツの裏地で普及し、アウターやインナー、運動着などへ用途を拡大。近年は「サリー」などインドの民族衣装向けや、中国では企業の制服などで採用が増えているという。事業の売上高比率は国内3割強で海外7割弱。特に欧州のアパレル業者などでは、環境負荷の少ないサステナブル(持続可能)素材を優先して採用する動きが顕著。原料がコットンリンター100%のベンベルグが持つ環境適合性はポリエステルやナイロンに勝る特徴だ。

日刊工業新聞2018年5月21日

峯岸 研一

峯岸 研一
05月22日
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キュプラ繊維は、衣料用裏地向けからインナー、アウター向けに需要が広がっており、それが今回の増設につながっています。増設にとって重要なのは、原料であるコットンリンターの供給体制が確立していることです。とくに、インドとの取り組みが注目されます。主要輸入国だったシリアが内乱激化により壊滅した直後には、数量確保で苦労した時期もありました。それをカバーしたのがインドでした。旭化成はインドで綿実油企業だけでなく綿栽培農家との連携強化に注力、2018年1-3月のコットンリンター輸入量が全体の45%強を占めるまでになりました。しかも、インドとの取り組みは原料輸入に留まらず、キュプラ糸の輸出先としても定着しています。インドの織布企業や染色企業と連携することで、繊維製造で稀有な、2国間における原料から染色加工に至るサプライチェーンを作り上げました。若しも、旭化成がキュプラ繊維の海外生産に踏み切るならば、インドが最有力に挙がるのは間違いないでしょう。それほどインドのプレゼンスが高まっています。

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