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「テリヤキバーガー」誕生、陰の立役者

米国から「テリヤキ文化」は逆輸入、その裏にキッコーマンあり
「テリヤキバーガー」誕生、陰の立役者

モスバーガー公式ページより

 「てりやき」と聞いたら何をイメージしますか。こう問われて、「ブリ」と即答したら、「相当に古い人ですね」と苦笑された。さっぱり理由が分からずに、不思議そうにしていたら、比較的若い層は、「ハンバーガー」か「チキン」をイメージするのだという。

 ブリの照り焼きと言えば日本食の定番料理。テリヤキハンバーガーやテリヤキチキンはそこから派生した料理なのだと思っていた。ところが、肉のテリヤキ文化は米国からの逆輸入なのだとも知らされた。

 これは1950年代後半にキッコーマンがしょうゆで北米市場に進出したことに始まる。米国で日本食向けにしょうゆを使うのは当然だったが、それではしょうゆの普及は広がらないと考えた。

 米国では肉食が一般的。そこにしょうゆを組み合わせて、一般家庭にもしょうゆを根付かせる戦略を採った。67年には「テリヤキソース」を発売した。

 日本では、73年にモスバーガーが「テリヤキバーガー」を発売。国内でも肉のテリヤキ文化が一般的になった。

 米国生まれの肉のテリヤキはもう半世紀の歴史。「照り焼きといったら魚介」という発想では、市場創造は難しいのかも。それでも照り焼きはブリが美味いと思うのだが。
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
キッコーマンの茂木友三郎名誉会長は以前こんな面白い話をして下さった。 「商品は『西洋由来』と『東洋由来』に大別できる。西洋由来とは自動車や家電といった西洋に原点がある商品を指す半面、しょうゆなど東洋の文化に根差した商品は東洋由来である。この異なる由来により、海外戦略は大きく変わってくる。  東洋由来の商品は海外進出の際、商品全体の特性を知ってもらうという『自己紹介』から始めなければならない。まったく未知の市場を創り出すということで、さまざまな苦労を強いられるが、一度マーケットを作り出せば技術優位性は確保できる。  一方、西洋由来の商品はすでに市場が出来上がっている分野だけに自己紹介は不要で、すんなりマーケットに入ることはできる。しかし市場には多くのライバルが待ち構えており、技術優位性を確保するのはなかなか難しい。一概にどちらが良い悪いとは断言できない、重要なのは技術優位性を発揮できる商品を自社でどれだけ持ちうるか。グローバル戦略の行方はおのずと見えてくる」

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