今、セメントのある風景が面白い!夜景の聖地にコンクリート船

奥多摩工業・氷川工場

  • 1
  • 3
観光開発と地域振興に一役買っている
 日本では現在約250の石灰石鉱山が稼働し、セメント1トンの製造に必要な原料は、およそ石灰石1.1トン。セメントの原料として一番多量に使うため北海道から沖縄まで全国各地に高品位の石灰石鉱山が点在している。

 工場では原料を調合し、「原料粉砕機」(原料ミル)で粉砕し1450度C以上の高温で焼成していくことで、原料は徐々に化学変化し、水硬性をもった化合物の集まりであるクリンカとなる。これを粉砕してセメントを作っている。

 東京都奥多摩町は美しい山々と清流・渓谷がある自然豊かな場所で都心からでも気軽に立ち寄れる観光名所。この、きらびやかな奥多摩工業氷川工場も工場夜景の聖地として観光開発と地域復興に一役買っている。
自然豊かな奥多摩に観光に行くと一際目立つ存在の工場が見えてくる

(写真・文=北山哲也)

鉄鋼不足の日本を支えた「武智丸」


 現代社会においてセメントを使用した土木建築・構造物は身近な存在となっているが、コンクリート(鉄筋)で造られた船(排水量2300トン・全長64メートル)が鋼船と同じようにエンジンを搭載し軍需物資輸送に従事していた事をご存じだろうか―。船の名は「武智丸=たけちまる」。

 太平洋戦争直前に米国や諸外国による経済封鎖による深刻な鉄鋼不足を補うために、舞鶴海軍工廠(こうしょう=工場)にて設計・研究され、1944年から兵庫県高砂市の「武智造船所」で4隻が建造された。

 戦後は民間に払い下げられ、現在は広島県呉市にある安浦漁港の堤防として船尾を向き合わせる形で、第1武智丸(陸側)、第2武智丸(沖側)が静かに佇(たたず)む。
静かに佇む「第2武智丸」

第二武智丸の甲板を支えるコンクリート柱は風化が進み鉄筋が浮かぶ姿も

(写真・文=田山浩一)

日本一空から遠い場所、八戸キャニオン


 八戸石灰鉱山(通称・八戸キャニオン、青森県八戸市)は海面下を採掘する国内では珍しい露天掘り石灰石鉱山。広さが東西約1.2キロメートル、南北約2キロメートル、最深部は海抜マイナス170メートルという圧倒的なスケールの中では、公道を走れない90トン積のダンプトラックも砂場のアリのように小さく見える。

「海抜ゼロメートルの地点が分かるように壁に目印をつけていたのですが、その部分を掘ってしまったので消えてしまいました」と八戸鉱山の採鉱部長。働く人々の力が生み出した日本で一番空から遠い最深部は、今後もさらに掘り進めていく。

 採掘された純度99%の良質な石灰石は、八戸市の地下を通る約10キロメートルの「ベルトコンベア」によって、24時間体制で専用埠頭(ふとう)や八戸セメント工場へ運ばれている。
日本一空から遠い場所

最深部でも重機が忙しく働いている

(写真・文=成田麻珠)

日刊工業新聞2018年4月27日/5月2日/4日

COMMENT

明豊
執行役員 DX担当
デジタルメディア局長

日刊工業新聞では全6回にわたり「セメントのある風景」を連載しました。他の回も新聞や電子版でご覧下さい。

関連する記事はこちら

特集