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トヨタがカナダ工場をSUV生産に特化させるワケ

米国で「RAV4」絶好調、売れ筋の供給力を確保
トヨタがカナダ工場をSUV生産に特化させるワケ

新型SUV「RAV4」(トヨタ公式ページより)

 トヨタ自動車がカナダ工場に14億カナダドル(約1200億円)を投じ、2018年末に全面改良して米国で発売するスポーツ多目的車(SUV)「RAV4」の増産体制を整える。新設計思想「TNGA」の適用に伴って生産設備を刷新するのに合わせ、カナダ工場はSUVの生産に特化する。原油安などの影響で米国市場は乗用車からSUVや小型トラックに需要がシフトしているため、売れ筋のSUVの供給力を確保する。

 米国でRAV4の販売は絶好調だ。モデル末期にさしかかっているが、17年は米国で過去最高の約41万台を販売し、米国で最も売れたSUVとなった。さらに、乗用車セグメントで16年連続で販売台数トップを誇る中型セダン「カムリ」を抜き、米国で最も販売台数が多いトヨタ車にもなった。

 トヨタはカナダのオンタリオ州に2工場を構え、RAV4と小型車「カローラ」、高級車ブランド「レクサス」のSUV「RX」を生産している。

 17年の生産実績は約57万台。すでに現行のRAV4を生産しているウッドストック市の工場で今秋からガソリン車の生産を始める。ケンブリッジ市の工場でも19年初めをめどに生産する。ハイブリッド車(HV)の生産開始は19年からという。

 ケンブリッジ市の工場が担うカローラ生産が米国に移管されるため、カナダ工場はSUVに集中して生産効率を高める。新規雇用450人も計画し増産に備える。SUVなどへの市場のシフトで車種の供給力が重要となる中、急いで体制を整える。
日刊工業新聞2018年5月8日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
トヨタは国内でもRAV4を増産する。生産委託先の豊田自動織機の長草工場(愛知県大府市)が担う小型車「ヴィッツ」の生産をトヨタ自動車東日本(TMEJ、宮城県大衡村)に移管し、豊田織機で18年度に23万7000台(前年度比15・6%増)のRAV4を生産する計画だ。 (日刊工業新聞名古屋支社・今村博之)

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