「はしか」終息せず、感染を防ぐためには?
海外からウィルス、国内患者数90人超える
3月に沖縄県で発生したはしかは、5月に入り延べ患者数が90人を超えた。日本は、2015年に国内由来のはしかウイルスによる感染が発生していない「排除状態」であると世界保健機関(WHO)から認定を受けた。しかし海外から持ち込まれたウイルスによって流行が繰り返されている。大型連休で人の移動が活発化し、終息のめどはいまだ立たない。
はしかは空気感染によって広がり、かかってしまうと有効な治療法はない。合併症である脳炎や肺炎による重症化が原因で、1000人に1人は死に至る。
予防にはワクチン接種が唯一有効な対策手段だ。1歳以上から数えて2回の接種を受けることで、ほぼ100%免疫を獲得でき、感染のリスクを最小限に抑えることができる。
国立感染症研究所感染症疫学センター第3室の多屋馨子室長は「自分が2回接種したかどうかは母子健康手帳で確認できる。記憶はあてにならないので、接種の記録が確認できない場合は受けていないと考えた方がいい」と話す。
はしかのワクチン接種を受けるには、健康状態や体質、また女性の場合は妊娠に関する注意事項を必ず確認しなくてはならない。例えば、発熱している人や、はしかワクチンにより、重篤なアレルギー反応であるアナフィラキシーショックを起こした人は受けることができない。
1歳と6歳の子どもは定期接種の対象となっているが、定期接種対象者以外でも医療機関に勤務する人や海外渡航の予定がある人などは、ワクチン接種が推奨されている。
発症初期には発熱やせきなどの症状があらわれるが、発症より1日前から感染力を持つため、気付いたときには人にうつしてしまっている可能性がある。自分がかからないために、また他人にうつさないために、予防行動が重要だ。
はしかの初期症状は風邪と区別することができない。はしかの可能性がある場合の注意すべき事として「いきなり病院に行かず、まずは電話で相談を」と多屋氏は強調する。はしかウイルスは感染力が高いため、他の患者と離すなど対策が必要だからだ。
はしか流行地域や海外に行ったあと、自分や家族のはしか感染が疑われる場合はまずワクチン接種歴を確認し、医療機関に正確に情報を伝える必要がある。
はしかがたびたび流行することについて多屋氏は「命に関わることもある感染症なのに、自分のワクチン接種状況がわからないなど、無防備な人は多い」と指摘する。実際、現在のように流行しても、ワクチン接種状況の確認という行動に結びついた人は少ないのではないだろうか。
(文=安川結野)
海外からウイルス
はしかは空気感染によって広がり、かかってしまうと有効な治療法はない。合併症である脳炎や肺炎による重症化が原因で、1000人に1人は死に至る。
予防にはワクチン接種が唯一有効な対策手段だ。1歳以上から数えて2回の接種を受けることで、ほぼ100%免疫を獲得でき、感染のリスクを最小限に抑えることができる。
国立感染症研究所感染症疫学センター第3室の多屋馨子室長は「自分が2回接種したかどうかは母子健康手帳で確認できる。記憶はあてにならないので、接種の記録が確認できない場合は受けていないと考えた方がいい」と話す。
健康状態重要
はしかのワクチン接種を受けるには、健康状態や体質、また女性の場合は妊娠に関する注意事項を必ず確認しなくてはならない。例えば、発熱している人や、はしかワクチンにより、重篤なアレルギー反応であるアナフィラキシーショックを起こした人は受けることができない。
1歳と6歳の子どもは定期接種の対象となっているが、定期接種対象者以外でも医療機関に勤務する人や海外渡航の予定がある人などは、ワクチン接種が推奨されている。
発症初期には発熱やせきなどの症状があらわれるが、発症より1日前から感染力を持つため、気付いたときには人にうつしてしまっている可能性がある。自分がかからないために、また他人にうつさないために、予防行動が重要だ。
まずは電話
はしかの初期症状は風邪と区別することができない。はしかの可能性がある場合の注意すべき事として「いきなり病院に行かず、まずは電話で相談を」と多屋氏は強調する。はしかウイルスは感染力が高いため、他の患者と離すなど対策が必要だからだ。
はしか流行地域や海外に行ったあと、自分や家族のはしか感染が疑われる場合はまずワクチン接種歴を確認し、医療機関に正確に情報を伝える必要がある。
はしかがたびたび流行することについて多屋氏は「命に関わることもある感染症なのに、自分のワクチン接種状況がわからないなど、無防備な人は多い」と指摘する。実際、現在のように流行しても、ワクチン接種状況の確認という行動に結びついた人は少ないのではないだろうか。
(文=安川結野)
日刊工業新聞2018年5月9日