ふるさと納税を活用した新しいを災害支援

前年に被災地となった町が想いをつなげた「代理寄付受付」

 「平成28年熊本地震」を覚えているだろか。4月14日夜に熊本県と大分県を襲った地震だ。崩れた熊本城や、車中泊をする避難者を思い出す方も多いと思う。その裏側で、新しい「支援の輪」の形が生まれていた。

 「ふるさと納税」による災害支援の寄付の受付を被災地とは別の自治体がを使い「代理」で行い、業務を請け負う――という、自治体同士の繋がりである。

 そもそも自治体がふるさと納税で寄付を集める際、自治体には寄付金受領証明書発行等の事務作業が発生する。しかし被災自治体では震災直後、安否確認や避難所といった安全環境の確保などにまず対応しなくてはならず、寄付の受付作業も大変になる。

 だがメディアの報道が多く、全国の関心を集めている時期に多くの支援金が集まる傾向があるため、寄付金の訴えは早いほうが良い。

 熊本地震のため、と最初に代理を始めたのは茨城県堺町だった。代理寄付受付を初めてふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」で開設、ふるさと納税による寄付の事務作業を担った。


 この動きは一気に広まり、最終的に40以上の自治体が「代理」に参画し、被災地の代わりに8億円もの寄付金を集め被災地に送った。

 熊本地震から2年がたち、今あらためて「ふるさとチョイス」にこの件を尋ねると、茨城県堺町側から初めに「境町が代理で寄付を受け付ける」と連絡がきたらしい。

 「熊本地震の前年に、台風による記録的な豪雨で被害を受けていたのが堺町でした」(ふるさとチョイス広報担当者)
堺町はその被災地としてふるさと納税による寄付を受け入れた経験を教訓にし、熊本のために何か手伝えることはないかと考え申し出たのだ。

 現在ふるさとチョイスにおける「ふるさと納税」を活用した災害支援の制度は整えられ、「被災地に応援メッセージも送ることが出来る」「寄付件数も公表されるので、被災地の励みになる」といった特徴も好評を得ている。

 「避難所にメッセージをプリントアウトして貼り、励みにされた場所もあるそうです」(広報担当者)

 ふるさとチョイスの「災害時緊急寄附申込みフォーム」は全国の自治体に無償で提供され、元々の契約の有無に係わらずどの自治体でも利用が可能となっている。

 想いを繋ぐ「ふるさと納税」。想いは形となり、新しい方法が生まれ、被災地に届けられている。

メトロガイド
ふるさとチョイス 災害支援ページ

日刊工業新聞 記者

日刊工業新聞 記者
04月24日
この記事のファシリテーター

前例のない「代理寄附」に取り組んだ姿は、従来の「初めての事例って難しいんだよね」的お役所の姿(イメージです)を覆すもの。豪雨の被災地としてクローズアップされるのは常総市ばかりで、被害のあった境町や隣町には、あまりお金が入ってこなかったけれど、ふるさと納税に助けられた、という境町。そんな流れもあり、境町長は代理支援を即決したらしいです。IT技術が人の絆を手助けしていますね。

この記事にコメントする

  

ファシリテーター紹介

記者・ファシリテーターへのメッセージ

この記事に関するご意見、ご感想
情報などをお寄せください。