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フジテレビの球体にも参画した金属建材業者、部品の流れをIoTで見える化

菊川工業、POPシステム導入で作業効率化
フジテレビの球体にも参画した金属建材業者、部品の流れをIoTで見える化

POPシステムで物を取りに行く時間などを省略

 菊川工業(東京都墨田区、宇津野嘉彦社長)は、国内外の著名な建築家やデザイナーが手がける建築物の金属内外装建材製作・施工を手がけ「メタルアーキテクト」を自負する。複雑で高度な技術を要する、神社仏閣などの復元工事も得意とする。海外ではブルームバーグの新欧州本社の外装も手がけた。菊川工業は作業の効率化や最新技術利用による顧客への多様な対応実現のため、2015年から生産時点情報管理(POP)システムを導入し、部品の流れの見える化に取り組み始めた。

 同システムは、作業員の作業効率向上を目的に、15年度補正予算での「ものづくり・商業・サービス新展開支援補助金」の交付先に採択され、17年に白井工場(千葉県白井市)に導入された。

 IoT(モノのインターネット)利用の同システムは、作業者が点呼や作業進捗(しんちょく)、中断理由などを2次元コードの読み取りで報告し、工程での状況把握を一元管理する。その上で、工程全体の目標作業時間も設定。10分を超えた場合は、月3回行われる工数削減会議で原因を整理し、対策などが話し合われる。

 導入によって、これまでロスタイムとされていた、物を取りに行く時間、進捗確認を行うなどの時間を省けるようになった。

 前田一博製造部長は「確認のためにいちいち動く必要がなくなったため、作業負担は確実に減っている」と話し「これまでの経験を元に工程作業を設定するため、まだ新しい案件で時間が読めず、目標設定がうまくいかない場合もある。作業効率を向上させ、さらなるリードタイム短縮に向け努力を続けたい」とする。
日刊工業新聞2018年4月21日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
 宇津野社長は「オンリーワンを貫くには投資は必須だ。技術は今後も進化が続く。先端技術を先がけて導入できるか否かで、顧客獲得での明暗が分かれる。これからも先端技術を導入し、顧客のどんな要求にも対応していきたい」と話す。 (日刊工業新聞社・高橋沙世子)

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