排水システム刷新でマンションの間取り自由に

野村不動産と長谷工コーポが共同開発、都内で初採用

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サイホン排水システムを初採用した野村不動産のマンション
 マンションの間取りをもっと自由に―。キッチンなど水回り設備の配置を各住戸で変えられる「サイホン排水システム」を初めて採用した野村不動産のマンションが完成した。従来のマンションは排水の仕組みの制約上、各戸の間取りが画一的になりがちだった。システムの開発から3年。実用化の壁を越え、今後は技術検証のスピードも速まる見通し。マンションの常識がまた一つ、変わりそうだ。

吸い出す力発生


 サイホン排水システム「スマートサイホン」は野村不動産とブリヂストン、長谷工コーポレーションが共同開発した。各住戸の水回り設備に接続している排水管と、各階を縦貫する排水立て管を一つ下の階で合流させ、水を管から吸い出す力(サイホン力)を発生させて水を流す仕組み。水流が強いため、水回り設備を排水立て管から離れた場所に配置できる。排水立て管を住戸外に配置することも可能だ。

 一般的なマンションの排水は、水回り設備に接続している排水管に勾配を持たせ、水を排水立て管に流す。重力に頼るため、排水管と排水立て管の距離を近くとり、水流の強さを保つ必要があった。

大きいメリット


 サイホン排水システムを初採用した野村不動産の分譲マンションは、バルコニー近くにキッチンをレイアウトした間取りや、アイランドキッチン形状の間取りを無償で選択可能にしたほか、オーダーメードでキッチンを配置するプランを提供した。「売れ行きへの効果は定量化が難しい」(野村不動産)ため、顧客への訴求効果は今後の検証が必要だが、キッチンを大胆に動かしたプランを選択した顧客も実際に現れるなど、一定の手応えは得たようだ。

 「リフォーム時や配管更新時にもメリットが大きい」(同)。実際に物件が完成したことで社内の建築担当者から「ぜひ採用したい」との声が多数上がってきたという。ライフスタイルの変化に合わせた自由な間取りが可能になることは、マンションの資産価値向上にもプラスに働きそうだ。
(文・斎藤正人)
    

日刊工業新聞2018年4月18日

COMMENT

葭本隆太
デジタルメディア局
ニュースイッチ編集長

リノベーション時などにおいても水回り設備の配置が変更できない点は不満が残りやすいところ。こうしたシステムが普及すれば、リノベーションがより楽しくなるかも。

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