UACJ、波乱の人事。筆頭株主が反対
「(古河電工と)話し合いの経緯や企業観にすれ違いがあった」(山内会長)
UACJの役員人事案が筆頭株主の古河電気工業の反対で覆る異例の展開となった。UACJは山内重徳会長と岡田満社長が6月の株主総会後に取締役を外れ、相談役に退く修正案を発表。2月末公表の当初案では山内会長は留任、岡田社長は副会長に就き、2人とも代表権を持ち続ける予定だった。株主総会の委任状争奪戦に発展する可能性もあったが、両社のイメージ低下につながりかねず、話し合いによる早期決着を図った格好だ。
UACJが13日に発表した修正案は、石原美幸取締役の社長昇格は変更せず、中野隆喜、種岡瑞穂の両取締役兼専務執行役員に代表権を付与する内容。古河電工も同日、同修正案への支持を書面で発表した。
UACJの当初案に対し、古河電工は「山内氏と岡田氏が代表取締役として残るのは問題。石原新社長が手腕を発揮できない」(小林敬一社長)として反対を表明。2013年10月に旧古河スカイと旧住友軽金属工業が合併し、UACJとなった統合効果が表れていない点や、海外投資が結実していない点も批判し、経営責任を取る意味で山内氏と岡田氏の取締役退任を求めていた。
13日に会見したUACJの山内会長は、修正案について「会社の運営がうまくいくこと、会社の独立性を確保すること、山内・岡田の保身ではないことの3点を判断基準に検討した」と説明。筆頭株主である古河電工の理解を得ていないにもかかわらず、2月末の人事案発表に至った背景として「話し合いの経緯や両社の企業観にすれ違いがあった」との認識を示した。
一方、代表取締役を3人体制とする点は当初案の方針を維持した。山内会長は「ガバナンス(統治)に対する世間の厳しい見方は認識しているが、3人いることが問題になるとは考えていない」と強調。新たに代表権を持つ中野氏は海外案件、種岡氏は主力のアルミニウム板事業の責任者として、経営全般をみる石原次期社長と役割分担するという。
修正案は、社外取締役を2人増やし計4人とすることも盛り込んだ。
取締役総数の3分の1を社外取締役が占めることになり、「ガバナンスをしっかり機能させられる」(山内会長)とみている。
(文・斉藤陽一)
社長は変更なし
UACJが13日に発表した修正案は、石原美幸取締役の社長昇格は変更せず、中野隆喜、種岡瑞穂の両取締役兼専務執行役員に代表権を付与する内容。古河電工も同日、同修正案への支持を書面で発表した。
UACJの当初案に対し、古河電工は「山内氏と岡田氏が代表取締役として残るのは問題。石原新社長が手腕を発揮できない」(小林敬一社長)として反対を表明。2013年10月に旧古河スカイと旧住友軽金属工業が合併し、UACJとなった統合効果が表れていない点や、海外投資が結実していない点も批判し、経営責任を取る意味で山内氏と岡田氏の取締役退任を求めていた。
3人体制は維持
13日に会見したUACJの山内会長は、修正案について「会社の運営がうまくいくこと、会社の独立性を確保すること、山内・岡田の保身ではないことの3点を判断基準に検討した」と説明。筆頭株主である古河電工の理解を得ていないにもかかわらず、2月末の人事案発表に至った背景として「話し合いの経緯や両社の企業観にすれ違いがあった」との認識を示した。
一方、代表取締役を3人体制とする点は当初案の方針を維持した。山内会長は「ガバナンス(統治)に対する世間の厳しい見方は認識しているが、3人いることが問題になるとは考えていない」と強調。新たに代表権を持つ中野氏は海外案件、種岡氏は主力のアルミニウム板事業の責任者として、経営全般をみる石原次期社長と役割分担するという。
修正案は、社外取締役を2人増やし計4人とすることも盛り込んだ。
取締役総数の3分の1を社外取締役が占めることになり、「ガバナンスをしっかり機能させられる」(山内会長)とみている。
(文・斉藤陽一)
日刊工業新聞2018年4月16日