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全固体電池の特許出願、5割超の日本が国際標準狙う

経産省など車載向けで試験法を開発
全固体電池の特許出願、5割超の日本が国際標準狙う

トヨタの豊田章男社長(左)とパナソニックの津賀一宏社長

経済産業省と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)は車載向けの全固体リチウムイオン電池(全固体LIB)の国際標準化戦略を策定する。2022年度をめどに国際規格・基準への反映を想定した全固体LIBの試験評価法の原案をつくる。電気自動車(EV)需要の拡大に伴う本格普及期を見据え、日本が全固体LIBの国際協調を主導。日系蓄電池メーカーの競争力強化を後押しする。

 全固体LIBの耐久性試験データや劣化メカニズムの解析、劣化現象解明を進め、セルや構成材料、部品の劣化要因マップを策定。長期耐久性を短期で予測できる劣化加速試験法を開発する。

 量産には安全性を担保する上で標準的な試験評価法の確立が欠かせない。国内では技術研究組合リチウムイオン電池材料評価研究センター(LIBTEC)が電池材料の共通評価基盤の確立を進めるなど研究開発が活発化している。

 ただ、車載用蓄電池市場における日本勢のシェアは13年の約70%から16年には約40%まで低下した。日本、中国、韓国の寡占状況に変わりないが、大規模投資や量産化、コスト低減の体力勝負になっている。

 一方、欧州委員会が日中韓の蓄電池メーカー依存からの脱却を目指すため、欧州企業の知見を結集する「車載用蓄電池版エアバス」構想を打ち出すなど追い上げを強める。

 現状のリチウムイオン電池は技術的に成熟し、リチウムやコバルトなど資源制約のリスクを抱える。経産省は20年代の全固体LIBの実用化を目指し、研究開発を急ぐ。

 全固体電池の特許出願は06年以降増加。02―14年の特許出願件数のうち日本は54%を占め、2位以下の中国や米国、韓国に差をつけている。

トヨタや素材メーカーも動く


 全固体電池の特許出願件数が世界トップのトヨタ自動車は、2020年代前半に車載向けで全固体電池の実用化を目指している。トヨタはハイブリッド車(HV)などの電動車で世界シェア首位。

 17年12月にはパナソニックと車載用角形電池事業で協業の検討を始めており、次世代技術として全固体電池での協力も視野に入れる。トヨタとパナソニックは自動車メーカー各社の電動車の普及に貢献することを想定し、具体的な協業内容を詰めている。

 三菱ガス化学や東レ住友化学など素材大手も全固体電池の需要拡大を見据え、材料開発を急いでいる。三菱ガス化学は2020年までに全固体電池用の固体電解質を開発する計画で、電気自動車(EV)など車載向けでリチウムイオン二次電池に続く次世代電池材料の実用化を急ぐ。

 ただ固体電解質は割れやすい問題を抱える。薄くて強度の十分な材料の量産技術の確立が最大の課題となっている。
              
日刊工業新聞2018年4月11日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
全固体リチウムイオン電池は、現在主流のリチウムイオン電池は正極と負極の間を液体電解質で満たしているのに対し、全固体リチウムイオン電池は固体材料の電解質を採用した。固体に置き換えることで液漏れの心配がなくなるほか、揮発成分が少なくなり発火しにくくなる。全固体電池の強みは安全性の高さに加え、急速充電性能の高さ。電気自動車(EV)の普及を妨げている長時間充電を解消できる。

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