瀬戸内・山陰の魅力掘り起すJTB

明治維新150年、平清盛生誕900年の節目

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萩本陣では、夕食に豪快な姿造りのプランも用意
 国内観光地の活性化の一環として、JRや旅行各社が自治体や観光関連団体などと協力して観光キャンペーンを定期的に展開している。2020年の東京五輪・パラリンピックを控え、訪日観光客も一段と増加しており、国内外からの誘客を前提に対象地選定に知恵を絞る。こうした中、旅行最大手のJTBは瀬戸内・山陰を18年度上期のキャンペーン対象に選定。明治維新150年や平清盛生誕900年といった節目をとらえ各地の魅力を掘り起こす。山口と広島の主な見どころを回った。

明治維新150年、松下村塾で特別講話


 JTBが18年度上期の「日本の旬」として選んだ「瀬戸内・山陰」は、中国地方5県が対象。穏やかな気候の瀬戸内海沿いと、荒々しい地形が特徴の日本海沿岸。そして5県を貫く中国山地が生み出した自然や歴史、産物は、隠れた魅力と言える。

 まず、山口県萩市の松陰神社。境内には、幕末の志士を輩出した松下村塾が保存されている。8畳間の講義室と10畳半の控えの間を間近に見られる。特別講話案内役の青田国男宮司は「多い時は15人程度、少ない時は4、5人と、延べ約80人の塾生が学んだようだ」と、松陰の肖像画を指しながら説明する。「費用なし、試験なしだったが、志を立てていることが入塾の条件。実行のための学問を重んじていたためか、私塾とはいえ、5人の首相・大臣を生み出した」と続ける。萩は戦災にあっておらず、古い町並みが残る。宿泊施設では大浴場の評価が高い市内の「萩本陣」があり、市内を一望できる。

 明治維新といえば薩摩や長州などの倒幕勢力が中心。鹿児島県は18年のNHK大河ドラマ「西郷どん」放映で沸き、山口県も、萩の吉田松陰の妹が主人公となった15年の「花燃ゆ」で脚光を浴びた。「大河ドラマの地元は視聴率に関係なく、必ず盛り上がる」(JTB)といい、山口県観光客動態調査によると、16年の宿泊客は前年比3・8%減の466万人、観光客は同0・5%減の3125万人となったが、花燃ゆが放映された15年に次ぐ過去2番目の多さ。「勢いは続いている」(JTB山口支店)。

123基の赤い鳥居とコバルトブルーの海


 西の長門市には15年に米CNNの「日本の美しい風景31選」で紹介されたことで有名になった元乃隅稲成(もとのすみいなり)神社がある。海岸の崖沿いに並ぶ123基の赤い鳥居が圧巻。
123基の赤い鳥居が圧巻の元乃隅稲成神社

 寄せる波が岩礁の間を10メートル以上、噴き上がる噴潮が見られる景勝地「龍宮の潮吹」と隣り合わせの場所だ。唐の楊貴妃伝説がある近くの油谷湾沿いには、ph9・6のアルカリ性単純温泉と湾を望む雄大な景色が売り物のホテル楊貴館があり、さらに西へ向かえば、映画のロケ地として有名な全長1780メートルの角島大橋(下関市)。

 眼下にコバルトブルーの海士ケ瀬(あまがせ)を見る。旅行サイト「トリップアドバイザー」で「行ってよかった!道の駅ランキング2016」で第1位に選ばれた「道の駅北浦街道豊北(ほうほく)」(同)も近い。
油谷湾の広大な景観が広がる露天風呂ホテル楊貴館。近くには楊貴妃伝説が伝わる

 藤野亘駅長は人気の理由について、「景色の良さ、海鮮メーンの50種類の食事メニュー、約3000点の物産、1時間に1回は清掃するトイレ、従業員の声掛けの徹底」と分析する。16年度は約58万人の利用があったが、17年度は60万人。女性客をさらに取り込もうと、小さめの丼ものや地魚すしなどを企画する。

スイーツとお好み焼き


 広島では、まず広島空港(広島県三原市)に隣接してスイーツメーカーの八天堂の広島みはら臨空工場と喫茶室「カフェリエ」があり、工場は見学可能。「毎日、2万~3万個を東京に空輸している」(塩本広大カフェリエ事業部係長代理)といい、東京都内でも販売されているしっとりした触感のクリームパンが看板商品。
八天堂の広島みはら臨空工場は見学もできる

 広島市内ではJR広島駅南口のお好み焼き名店街「ひろしまお好み物語駅前ひろば」で、本場のお好み焼きが楽しめる15カ店がフロアに出店し、修学旅行生を含め約8割が観光客。雰囲気とともに、味比べを楽しみたい。16年9月から広島マツダ(広島市中区)が運営する複合商業ビル「おりづるタワー」(広島市中区)の最上階に上れば、原爆ドームや平和祈念公園が見下ろせ、遠く宮島も一望できる。平和への祈りを込めて専用の紙で折った鶴を投入できる。おりづるタワー事務局の児玉健治郎セクションリーダーは「壁面には、おりづるの壁として127万羽がためられる。現在、26万羽強で、満杯にはあと4、5年はかかりそう」と話す。

酒蔵を観光タクシーで巡る


 日本酒も有名で、広島県西条市は日本三大酒どころ。山口県も、旭酒造(岩国市)の「獺祭(だっさい)」をはじめ、銘酒が多い。石油化学コンビナートがある周南市では、純米酒「原田」を醸造するはつもみぢ(周南市)の原田康宏社長らが中心となって、JTBの支店、周南観光コンベンション協会、周南近鉄タクシーと協力し、「タク酒ー(タクシュー)」と名付けた市内の酒蔵巡りを17年12月に始めた。現在3カ所を回って試飲する。原田社長は「今は市内に19の酒蔵があり、『ご酒印帳』などもつくってアピールしたい」と活性化に取り組む。
醸造工程を説明する原田康宏はつもみぢ社長。地酒での地域活性化に取り組む

 JTBの「日本の旬」では、多くの観光拠点と協力して優待体験が楽しめる仕掛けとなっており、単なる観光にとどまらない工夫で地方活性化に一役買う。18年度下期は、「北関東」を日本の旬に選定している。訪日外国人はもちろん、特に大都市圏からの国内客を誘致し、地域と旅行産業の活性化につなげる。

日刊工業新聞2018年4月13日

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