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LGBTが働きやすい環境、製薬各社はどう実現している?

大手3社の具体的取り組み
LGBTが働きやすい環境、製薬各社はどう実現している?

利用者の性別を問わないトイレの設置機運が高まっている(イメージ、TOTO提供)

 製薬各社は性的少数者(LGBT)が働きやすい環境づくりを強化する。武田薬品工業は3月に東京都中央区で完成したグローバル本社内に、利用者の性別を問わないトイレを設けた。中外製薬はLGBTの学生に対応できるよう面接官向けマニュアルを改訂する。協和発酵キリンも家族手当や社宅といった制度を見直す方針。各社は事業の国際化や創薬手法の変化などを踏まえ、多様な価値観を受け入れる風土を形成して優秀な人材の確保にもつなげる。

 武田薬品はグローバル本社のオフィス階に、利用者の性別を問わないユニバーサルデザイン(UD)のトイレを合計20以上設けた。LGBTの中には男女別トイレに入るのを苦痛に感じる人がいることに配慮した。

 中外製薬は4月に面接官マニュアルを改訂し、5月に面接官へ周知。6月以降の新卒選考活動で活用する。LGBTに関する不適切な発言で学生を傷つけてしまう事態を防ぐ。面接の場で自身の性的指向を告白する学生も増えてきており、面接官がその場で困らないよう準備する狙いもある。

 協和発酵キリンは配偶者や結婚の定義を再設定し、同性婚や事実婚についても各種社内制度の対象とする方向で検討を進める。詳細は今後詰めるが、家族手当や社宅料に影響するとみている。

 各社は社員向け啓発活動も進めてきた。武田薬品はLGBTに関する相談窓口を設けたほか、米国のLGBT社員が東京への出張時に情報交換を行うなどした。中外はLGBTの理解者・支援者の増加につながる社内イベントを実施。アステラス製薬やエーザイはeラーニングを展開している。

 製薬大手は医薬品市場の伸びが見込める、米国やアジアでの事業展開を進めている。また創薬手法は化学合成による低分子薬だけでなく、抗体などの高分子薬の必要性も増した。事業環境が変化する中では、多様な考え方や人材を受け入れることが競争力強化につながると認識されている。
日刊工業新聞2018年4月5日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
LGBTへの関心や対応は働き方だけでなく、行政や芸術分野など社会全体で盛んになってきていますね。より多くの人が生まれた時から生きにくさを感じることがない、という社会が今まさに建設中です。

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