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保険業界で「LGBT(性的少数者)」の対応商品広がる

東京・渋谷区の「同性パートナーシップ証明書」の発行も後押し
 営業職員に女性を多く抱えることから、女性の活躍に積極的な生命保険業界。ダイバーシティーの一環として、本業の保険商品においてもダイバーシティーを反映した新しい取り組みが進む。それは性的少数者「LGBT」への対応。特定の手続きを踏めば、同性愛のパートナーを死亡保険金の受取人に指名する手続きが従来より緩和されるようになった。

 先陣をきったのがライフネット生命保険。15年10月に取り組みを発表。同社はこれまで保険金の受取人には戸籍上の配偶者か2親等内の親族を原則とし、事実婚も一定の条件で異性なら認めてきた。

 ただ、東京都渋谷区が同性愛のパートナーを認める「同性パートナーシップ証明書」の発行をスタート。この動きに合わせ、同社は同居を証明する住民票などを提出すれば、同性のパートナーも受取人として認めることとした。


 こうした動きは日本生命保険や住友生命保険など大手生保にも広がる。日生は渋谷区が発行したパートナーシップ証明書を提出すれば、同性パートナーを保険金の受取人に指定する手続きを簡易化すると公表した。

 第一生命保険は保険金の受取人指定に加え、社内向けのLGBT対応も進める。従業員向けに「LGBT相談窓口」を設置するほか、社宅貸与など福利厚生面でも同性愛パートナーを対象に加える。女性や外国人などに焦点が当たることが多かったダイバーシティー。その取り組みはLGBTへと広がり、多様性を受け入れる風土が生保業界でも着実に進んでいる。
日刊工業新聞2016年5月5日の記事から抜粋
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
産業界では「LGBT」を福利厚生の対象にするケースも増え始めている。また国際オリンピック委員会が五輪憲章で「性的指向による差別禁止」を掲げているため、2020年の東京五輪に向け特に公式パートナーなどで対応が広がりそう。

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