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沖縄科技大がベンチャー支援、学外技術への投資も

沖縄科技大がベンチャー支援、学外技術への投資も

学内研究との相乗効果にも期待(イメージ、沖縄科技大提供)

 沖縄科学技術大学院大学は、技術系ベンチャーの起業環境整備に2018年度から乗り出す。初の起業支援施設を12月に学内に設置するほか、学外シーズに投資する「スタートアップ・アクセラレータ・プログラム」を創設する。国内外から起業家を呼び込み、学内の設備や知見、ネットワークを活用してもらい、県の産業や雇用を振興する考えだ。

 支援施設は恩納村のキャンパスで建設。建築面積約500平方メートルにオフィスや実験用機器を整える。同プログラムの実行や学内研究の事業化拠点とし、大学発ベンチャーや共同研究企業の入居を見込む。20―25人が活動できる規模とし、交流や協業を進める。同プログラムは、パイロット事業として予算総額1500万円で1―2件を採択する予定。条件は沖縄県への移住と県内での起業だけで、国籍や同大との関係、技術分野は問わない。

 事業化期限を19年3月とし、実証段階など起業可能性の高いプランの応募を想定する。採択中は大学職員として設備を利用でき、技術員らの協力を得られる。学外シーズの取り込みによる学内研究との相乗効果も狙う。

 同様のプログラムは海外にもあるが、学外に開放する例は珍しいという。2年目以降はプログラムの予算を積み増し、採択件数を増やす計画だ。外部資金の活用も視野に入れる。

 担当する技術開発イノベーションセンターのローレン・ビク・ハー准副学長は、「イノベーション・エコシステム(生態系)を構築し、沖縄に産業をつくることが目的だ」と意気込んでいる。
                   
日刊工業新聞2018年3月30日
三苫能徳
三苫能徳 Mitoma Takanori 西部支社 記者
「資金を出すけど沖縄で起業してね」ということで地域振興につなげる取り組み。南米チリのスタートアップ施策をモデルにしたそうです。沖縄科技大の強みであり、ある意味で課題なのは研究レベルの高さと国際性。大学としては研究を通じた地域連携や貢献をしたいと考えていますが、地元企業との技術的なギャップが大きすぎて、共同研究や技術移転もやりにくい実状があります。その点でたとえ外部シーズであろうと、スタートアップが大学と地元産業界をビジネス的に結びつける触媒になる期待は大きいです。 ちなみに、アクセラレータ・プログラムの応募は3月31日まで。ギリギリですが、まだ間に合いますよ。

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