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双日の鉄道ビジネスは車両メンテナンスから

北米のM&Aを足がかかりに世界展開狙う
双日の鉄道ビジネスは車両メンテナンスから

北米の鉄道車両メンテナンス事業を強化している(カナダのキャドレイルウェイ)

 双日が北米の鉄道車両メンテナンス事業で、M&A(合併・買収)を実施するなど、鉄道関連事業を強化している。カナダ西部を拠点に鉄道車両メンテナンス事業を展開するカルトラックス(アルバータ州カルガリー)を2017年12月に買収。双日は15年12月にカナダ東部に拠点をもつ、キャドレイルウェイ(ケベック州モントリオール)に出資。カナダの東西に拠点を置くことで、両社を基点に米国にも事業を広げる狙い。

 双日が買収したカルトラックスは、キャドレイルウェイを通じて買収し、100%子会社化した。カルトラックスはカナダ西部では唯一の鉄道車両のメンテナンス会社で、北米の大手貨車リース会社や、貨車を自社で保有し、自社貨物の鉄道輸送を手がける荷主などが顧客。鉄道輸送の貨車は、貨物によって複数の種類があるが、それぞれに対応できるのが強みだ。

 一方、キャドレイルウェイは、北米の大手貨物鉄道事業者や機関車、貨車リース会社、都市交通当局などを対象に、鉄道車両や部品の保守や修理、改造などのサービスを手がける。

 顧客はカナダだけでなく、貨物鉄道網が広がる米国やメキシコなどにもまたがり、広範なエリアの顧客をカバーしている。各社の機関車、貨車、客車を対象にサービスを提供しており、用途や仕様が異なる車両にも幅広く対応できることを強みとしている。

 双日はカルトラックスを取り込んだことで、キャドレイルウェイと合わせ、カナダ東西に拠点を置き、ほぼ全体をカバーできるようになった。今後は、双方の顧客に対し、それぞれの強みを生かしてサービスを拡充する。また、カナダから米国に顧客網を広げる。

 双日はインドでデリー―ムンバイを結ぶ、貨物鉄道の建設を受注するなど、鉄道事業を拡大している。4月には、鉄道事業と航空機事業を合わせた「航空産業・交通プロジェクト本部」を新設。現状、航空機と鉄道はそれぞれ別の本部だが、交通インフラの事業をまとめることで、機能や人材などでシナジーを創出したい考えだ。
日刊工業新聞2018年3月30日
高屋優理
高屋優理 Takaya Yuri 編集局第二産業部 記者
鉄道の需要は環境への配慮などもあり、先進国、新興国を問わず高まっている。双日では体制を強化し、世界各国のさまざまな鉄道関連事業や、プロジェクトの獲得を目指す。

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