夜間の「電機学校」から私大最大の学生数に。IoT時代に強み生かす
東京電機大・安田学長に聞く。医療機器とセキュリティーの技術開発を融合
私立の理工系大学として最大規模の学生数を誇る東京電機大学。電気、機械といったモノづくり教育で技術者を育成する大学との印象が強いが、近年は高度なサイバーセキュリティー教育でも異彩を放つ。2018年度からは、IoT(モノのインターネット)時代に向け、安心安全な医療機器を開発する教育・研究拠点としての活動も始める。改革を進める安田浩学長に、これらの取り組みを聞いた。
―これまで別々に進めてきた、医療機器とセキュリティーの技術開発を融合し、「セキュアなIoT生体医工学拠点」を目指します。
「日本製の医療機器はアジアの病院などに多く導入されているが、故障した際に修理できる人が現地にいなかったり、セキュリティーに十分対応していなかったりする課題がある。本学の二つの強みを結びつけ、安全で使いやすいIoT対応の医療機器を開発し、技術者も育成する」
―セキュリティー分野では、日本を代表する教育機関の一つです。
「外部からも専門家を招き、暗号やマルウエア対策といった技術だけでなく、法律や経済、外交、心理、倫理を含む幅広い教育を行うのが本学のカリキュラムの特徴だ。120時間以上を学べば、履修証明書を出す。大学院の学生はもちろん、社会人が多く学ぶ。企業の最高情報セキュリティー責任者などを担う、高度なセキュリティー人材を今後も養成していく」
―夜間の「電機学校」から始まった大学として、社会人の学び直しニーズに手厚く対応していますね。
「全国的に大学の夜間部の数は減っているが、我々は経験とノウハウを生かして18年度からさらに拡張し、より職業実践力を高めた社会人課程を新設する。専門分野に加え、電気、機械、情報を横断的に学べる内容だ。3Dプリンターや、最新のソフトウエア技術などの新たな『実践知』を獲得してもらい、世界に通用するエンジニアとして送り出す」
―人工知能(AI)やIoTの時代に、モノづくり教育はどうあるべきですか。
「IoTで大量のデータが行き交うと、そこにモノは入ってこないような気がするかもしれないが、我々は、モノに立脚したAIとソフト技術の融合を目指している。17年は『ものづくりセンター』を開設した。うまく操作する必要は必ずしもないが、数値制御マシンや旋盤などによってモノが作られるという、モノづくりの原点は体験させる。AIは道具に過ぎないのだから」
(聞き手=藤木信穂)
―これまで別々に進めてきた、医療機器とセキュリティーの技術開発を融合し、「セキュアなIoT生体医工学拠点」を目指します。
「日本製の医療機器はアジアの病院などに多く導入されているが、故障した際に修理できる人が現地にいなかったり、セキュリティーに十分対応していなかったりする課題がある。本学の二つの強みを結びつけ、安全で使いやすいIoT対応の医療機器を開発し、技術者も育成する」
―セキュリティー分野では、日本を代表する教育機関の一つです。
「外部からも専門家を招き、暗号やマルウエア対策といった技術だけでなく、法律や経済、外交、心理、倫理を含む幅広い教育を行うのが本学のカリキュラムの特徴だ。120時間以上を学べば、履修証明書を出す。大学院の学生はもちろん、社会人が多く学ぶ。企業の最高情報セキュリティー責任者などを担う、高度なセキュリティー人材を今後も養成していく」
―夜間の「電機学校」から始まった大学として、社会人の学び直しニーズに手厚く対応していますね。
「全国的に大学の夜間部の数は減っているが、我々は経験とノウハウを生かして18年度からさらに拡張し、より職業実践力を高めた社会人課程を新設する。専門分野に加え、電気、機械、情報を横断的に学べる内容だ。3Dプリンターや、最新のソフトウエア技術などの新たな『実践知』を獲得してもらい、世界に通用するエンジニアとして送り出す」
―人工知能(AI)やIoTの時代に、モノづくり教育はどうあるべきですか。
「IoTで大量のデータが行き交うと、そこにモノは入ってこないような気がするかもしれないが、我々は、モノに立脚したAIとソフト技術の融合を目指している。17年は『ものづくりセンター』を開設した。うまく操作する必要は必ずしもないが、数値制御マシンや旋盤などによってモノが作られるという、モノづくりの原点は体験させる。AIは道具に過ぎないのだから」
(聞き手=藤木信穂)
【略歴】やすだ・ひろし 72年(昭47)東大院工学系研究科電子工学専攻博士課程修了、同年NTT入社。95年NTT理事・情報通信研究所所長。97年東大教授、07年東京電機大未来科学部教授、11年未来科学部長。16年4月より現職。東京都出身、73歳。工学博士。
日刊工業新聞2018年3月22日