大学の国際広報、広島大の外国人材活用法に学ぶ

翻訳の外注では得られない効果も

 大学が研究成果を英文のプレスリリースで発信するケースが増えている。スムーズな国際広報を先進事例に学びたい。

 広島大学は英語広報専門の外国人の雇用を2016年に始めた。英語が学内の公用語である沖縄科学技術大学院大学(OIST)の取り組みを参考にしたもの。人件費を抑制しつつ、大学と外国人人材の両方にメリットのある仕組みを取り入れているのが興味深い。

 雇用するのは、理工系などの学部卒業後にジャーナリズムやサイエンスコミュニケーションを学んで修士号を取得した若手人材だ。新卒一括採用の日本と異なり、欧米ではインターンシップの経験を積み、それをアピールすることで好条件の就職につなげることが多い。日本の大学で働くことはキャリアとして評価されるのだという。

 大学にしてみれば、日本では珍しい研究広報のスキルを身に付けた若手外国人を半年―1年間のインターンシップの形で活用できるのが魅力。交流のある海外の大学のほか会員制交流サイト(SNS)などを通じて希望者を募った。若い世代ほどウェブでの情報交換に慣れているためか、毎回20―40人の応募があるという。

 採用後は教育研究補助職員として、研究企画室でフルタイムで働いてもらう。過去20カ月で36本の英語リリースを発信。12万超のページビューという実績を上げた。

 発表文の翻訳の外注では得られない効果もあるという。若手研究者の勉強会で国際的な情報発信のノウハウを伝え、日本人の研究者らの英会話力アップにもつながる。さらに契約を終えて母国に戻った後も「広島大や日本のことを好意的に情報発信してくれる」(同大)。

 米国科学振興協会は2014年に、プレスリリース配信プラットフォーム「ユーレクアラート」の中に「ジャパンポータル」を開設した。こうした場を利用した大学発の英文リリースは、今後も増えていくだろう。教員や研究者だけでなく、研究支援人材の国際化にも新たな波が押し寄せている。

日刊工業新聞2018年3月19日

明 豊

明 豊
03月19日
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仕事柄、企業やいろいろな団体などからプレスリリースの書き方、どうしたら記事に取り上げやすいか、などの質問を受けることがよくある。いつも返す答えは同じ。メディアとの信頼関係、その土台となるコミュニケーション、広報マンとしての感度を上げる努力、ですと。広島大の試みはとても興味深い。リリースの本数も重要だが、大学の価値向上にどうつながったかという定性的な評価もしっかり見ていって欲しい。

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