高価格ながら大人気、「茅乃舎だし」の店舗ごとに変わる戦略とは?
久原本家グループ本社
久原本家グループ本社(福岡県久山町、河邉哲司社長、092・976・2000)は、1893年創業の総合食品メーカー。だしやしょうゆには厳選した素材を使用し、高価格帯ながら、多くのファンを持つ。2016年には、ベトナムで日本料理店を展開。米国ではオンライン販売を始めるなど海外展開も進めている。
同社グループは、マーケティングや経営戦略などを推進する久原本家グループ本社を含む全7社で構成している。現在、だしが人気の「茅乃舎(かやのや)」や鍋シリーズ「くばら」など、販売場所や用途別に五つのブランドを展開する。
各ブランドに細分化しているため、本元が久原本家グループであることを消費者が判断しづらい場合もある。しかし、菅原武春マーケティング本部広報宣伝部部長は「久原本家がやっていることは分からなくても問題ない」と話す。各ブランドごとにファンになってもらえば十分という姿勢だ。
同社は08年から福岡と首都圏を中心に直営店を展開する。2日には22店目となる「茅乃舎高島屋立川店」(東京都立川市)をオープンした。
もともとの出店目標は20店舗だった。21店目からは店ごとの個性を重視している。そこには店舗数を増やしながら、日常品だが高価というブランドイメージを維持したいという考えがある。
例えば、21店舗目の東京駅店は、人が多く行き来する立地環境を生かして「ギフトの強化」を際立たせた。予算に合わせて、だしパックを1個単位で販売する試みを実施。贈る相手を思いながら8種類から好きな組み合わせで購入できる。これには、「だしでも選ぶ楽しみがあっていい」という河邉社長の強い意向があった。
高島屋立川店では全商品を試食できる「全品試食」の取り組みを強化した。キッチンスペースを大きく設け、来店者はいすに腰掛けてゆっくり商品を味わえる。事前連絡があれば、店舗で取り扱いのない商品を準備するサービスも行う。
同店では、久原本家グループの商品で味付けした大根の煮物などの試食が可能だ。「味を納得した上で購入していただきたい」(菅原部長)との思いがあるからだ。
店舗では商品を使ったレシピを紹介して、具体的な調理法をイメージしやすくする。商品価値を理解した上での販売を大切にしている。
さらに、同店ではインターネットで注文した商品を受け取れる。そのため、消費者は送料不要で購入できる。
同社は希望者に年4回、季節のレシピを郵送している。冷蔵庫で余りがちな調味料を、最後まで使い切ってもらいたいとの願いがある。
今後も東京の購買力に注目しており、既存店舗と重複しないよう慎重に出店を判断していく方針だ。
(文=西部・増重直樹)
5ブランド展開
同社グループは、マーケティングや経営戦略などを推進する久原本家グループ本社を含む全7社で構成している。現在、だしが人気の「茅乃舎(かやのや)」や鍋シリーズ「くばら」など、販売場所や用途別に五つのブランドを展開する。
各ブランドに細分化しているため、本元が久原本家グループであることを消費者が判断しづらい場合もある。しかし、菅原武春マーケティング本部広報宣伝部部長は「久原本家がやっていることは分からなくても問題ない」と話す。各ブランドごとにファンになってもらえば十分という姿勢だ。
首都圏でも展開
同社は08年から福岡と首都圏を中心に直営店を展開する。2日には22店目となる「茅乃舎高島屋立川店」(東京都立川市)をオープンした。
もともとの出店目標は20店舗だった。21店目からは店ごとの個性を重視している。そこには店舗数を増やしながら、日常品だが高価というブランドイメージを維持したいという考えがある。
例えば、21店舗目の東京駅店は、人が多く行き来する立地環境を生かして「ギフトの強化」を際立たせた。予算に合わせて、だしパックを1個単位で販売する試みを実施。贈る相手を思いながら8種類から好きな組み合わせで購入できる。これには、「だしでも選ぶ楽しみがあっていい」という河邉社長の強い意向があった。
高島屋立川店では全商品を試食できる「全品試食」の取り組みを強化した。キッチンスペースを大きく設け、来店者はいすに腰掛けてゆっくり商品を味わえる。事前連絡があれば、店舗で取り扱いのない商品を準備するサービスも行う。
同店では、久原本家グループの商品で味付けした大根の煮物などの試食が可能だ。「味を納得した上で購入していただきたい」(菅原部長)との思いがあるからだ。
店舗では商品を使ったレシピを紹介して、具体的な調理法をイメージしやすくする。商品価値を理解した上での販売を大切にしている。
季節のレシピも
さらに、同店ではインターネットで注文した商品を受け取れる。そのため、消費者は送料不要で購入できる。
同社は希望者に年4回、季節のレシピを郵送している。冷蔵庫で余りがちな調味料を、最後まで使い切ってもらいたいとの願いがある。
今後も東京の購買力に注目しており、既存店舗と重複しないよう慎重に出店を判断していく方針だ。
(文=西部・増重直樹)
日刊工業新聞2018年3月16日