石油需要のピークは30年代後半に早まる!?元売りの危機感増す

保守的な英BPの予想に衝撃、一方で需要は当面右肩上がり

 石油の時代は終わるのか―2017年に各国政府がガソリン車の規制を打ち出したことで、古くて新しい論争が再び注目を集めている。石油メジャーは40年代をピークに石油消費が減少に向かうと予測してきたが、ピークの早まりを指摘する声も出てきた。一方、足元では新興国を中心に引き合いの強さは当面続く。需要が急減する事態は想定しにくいが、石油元売りは短期と長期を見据えた難しいかじ取りを求められる。

 2月下旬、英BPは石油需要が2030年代後半にピークに達し、減少に転じるとの見通しを発表した。BPは初めて長期予測にピーク時期を盛り込んだが、この結果に業界に衝撃が走った。IEA(国際エネルギー機関)やOPEC(石油輸出国機構)、大手石油会社は石油需要のピークは40年代と予測してきたからだ。

 業界関係者は「BPはこれまで再生可能エネルギー普及などパラダイムシフトには保守的な見方をしてきただけに驚いた」と語る。

 需要予測に大きく影響しているのが電気自動車(EV)の普及だ。17年には英、仏が40年までにガソリン・ディーゼル車の新規販売をすべて禁止することを目標として打ち出し、中国、インドも検討に入った。JXTGエネルギーの杉森務社長は「(17年の)1年の変化は大きい。危機感はかなり増した」と分析する。

 警戒感を示しつつも、業界は冷静に世界のEVシフトを見つめている。石油需要は当面は右肩上がり。新興国では石油需要は大きく、国内石油元売りの輸出事業も好調だ。元売り幹部は「アジアでは製油所が不足している。我々に競争力があれば国内の生産体制を縮小する必要もない」と自信をのぞかせる。

 BPは世界のEV台数(プラグインハイブリッド車を含む)が40年時点で約3億台、乗用車全体の15%程度までを占めると想定する。この予測はエクソン・モービルとほぼ同じ予測だ。

 予測で見逃せないのは、依然としてガソリン車が大半で、保有台数も新興国を中心に伸びる点。EV普及や燃費性能の向上による石油消費の減少はガソリン車の増加で相殺される。

 EVが急激に増加したところで、ガソリン需要は16年と比べて横ばいとみている。エネルギー需要全体では再生可能エネルギーによる発電が大きく伸びるが、「石油の時代が終わる」可能性は極めて小さいと言えよう。
(文=栗下直也)

日刊工業新聞2018年3月6日

栗下 直也

栗下 直也
03月07日
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とはいえ、確実に迫り来るEVシフトに向け、手を打たないわけにはいかない。国内石油元売り各社は給油所のEV向けの活用や、石油化学製品の強化を模索し始めている。

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