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ガソリン高が止まらない?三つの理由とは

販価2年半ぶり高値
 国内のガソリン価格の上昇が続いている。資源エネルギー庁が発表した1月9日時点のレギュラーガソリン価格は、全国平均で1リットル当たり141円90銭だった。3週連続の値上がりで、2015年7月以来、約2年半ぶりの高値水準となっている。産油国の協調減産や中東情勢の不安定さから原油価格が上昇し、ガソリンの値上がりにつながっている。

 都道府県別にみると徳島や鹿児島など30県で値上がり、下落は10府県だった。値上がりが下落した地域を上回る構図が続いている。

 ガソリン価格は17年9月以降、全国的に値上がり傾向にある。足元の価格は17年9月11日時点と比べると10円60銭高い。原油価格の上昇が背景にあるが、その理由は大きく三つある。

 まず、協調減産の延長が挙げられる。石油輸出国機構(OPEC)とロシアなどOPEC非加盟の主要産油国は18年3月に期限が切れる原油の協調減産を18年末まで再延長を決めた。需給が中長期で引き締まるとの観測がいまだに根強い。

 二つ目が地政学リスクの高まりだ。イランでの反政府デモや中東最大の産油国サウジアラビアで政情不安が続いていることで、原油の供給が途絶える懸念がくすぶっている。

 三つ目は日本への影響になるが、為替が円安方向へシフトしたことだ。原油の円建て輸入価格押し上げに働き、ガソリンへの価格転嫁を促すことになった。石油元売りは店頭への卸価格を段階的に引き上げている。

 今後も、原油価格が大きく下落することは想定しづらい。原油先物価格は12日に1バレル=64ドルを付けるなど、14年12月以来の水準まで上昇。石油元売り首脳は「昨秋の産油国の減産延長で価格に安定の兆しが見える。18年は1バレル=60ドル台で推移するだろう」と語る。

 主要国の減産は続く上に米国経済の回復で、為替は円安ドル高で推移する可能性が高い。ガソリン高が続く要素がそろっている。
                  



日刊工業新聞2018年1月17日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
車社会の地方では家計に占めるエネルギー負担が深刻かと。

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