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10代の卒業生にトヨタ社長が「厳しい訓練に耐えてくれてありがとう」

長期的視点にたった人づくりの出発点、企業内訓練校を重要視
10代の卒業生にトヨタ社長が「厳しい訓練に耐えてくれてありがとう」

トヨタ工業学園の卒業式に臨席する豊田社長(中央左)

 「厳しい訓練に耐えてくれてありがとう」―。トヨタ自動車の企業内訓練校「トヨタ工業学園」の卒業式が22日に愛知県豊田市の本社で開かれた。高等部と専門部で合計241人の卒業生のほか、トヨタ役員や保護者らが出席して門出を祝った。

 豊田章男社長は、学園生が登山訓練に備えて真夏に団体規律訓練をしている姿を目にしたエピソードを披露。「学園で学んだ一つ一つはカタチだけのものではない。現場で生き抜くために必ずや生かされるはず」と激励した。

 新技術についても「AI(人工知能)を進化させるのは人の知恵と改善。AIを良きライバルとし、切磋琢磨(せっさたくま)しながら匠(たくみ)の技を身に付けていかなければならない」と話す。

 高等部卒業生の代表として相良優斗さんは「気を抜くことができたのは眠るときだけでした。この先、どんな変化や困難があろうとも常に挑戦をし続けます」と決意を新たにした。

 今では少なくなった企業内学校。トヨタは人材確保を見据えて3年前に同学園の入学者を増やしたため、今年の卒業生は昨年より45人多い。日立製作所も一時廃校の危機にあった「日立工業専修学校」から熟練技術者の候補を生み出している。

 少子化や人手不足の中、企業は長期的視点にたった人づくりの出発点を探っている。
日刊工業新聞2018年2月23日の記事に加筆
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役デジタルメディア事業担当
自分も以前、日立の企業内学校に取材に行ったことがあるが、AIがクローズアップされ始めそのコントラストのように、ここ数年、逆に企業は熟練技術者不足を懸念する危機感が強まっている。関連記事の「異色のトヨタ副社長」の記事をぜひお読み下さい。

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