ドローンは救助活動にどこまで使えるか? 化学テロ対応訓練に参加

損保ジャパン日本興亜、“本業”を行いつつ活動

 損保ジャパン日本興亜は東京消防庁などが東京消防庁南多摩総合防災施設(東京都八王子市)で実施した化学テロ対応訓練に参加した。損保ジャパンの飛行ロボット(ドローン)運営チームが、上空から現場の状況把握や空から音声指示を出すなどの救助活動をサポートした。損保ジャパンは業務にドローンを活用している。だが、特殊な状況でドローンを使う「経験値」こそ重要だと強調する。

自治体と協定


 損保ジャパンは2015年3月からドローンを交通事故の検証や分析に活用している。併せて、複数の“本業”を行いつつ日本各地の訓練や災害で活動自治体と災害状況の把握などにドローンを使う協定を結ぶなどドローンの利用に積極的だ。

 これらの活動は損保ジャパンのドローン運用チームが全て行う。チームは少数で、事故調査の“本業”を行いつつ日本各地の訓練や災害で活動するのは大変だ。それでもチームの高橋良仁損害調査企画室技術部長は「ドローンを使う場面は一つとして同じ状況であることはない。さまざまな状況を経験しておくことが、ドローンの安全で質の高い運用につながる」と説く。

拡声器とカメラ


 南多摩総合防災施設で実施したのは「平成29年度NBC災害総合訓練」。NBCは核、生物、化学を指す。今回は東京五輪・パラリンピックの開催を見据え、大規模スポーツイベント時に発生した化学テロを想定した訓練となった。消防救助機動部隊や化学機動中隊などの部隊のほか、地元警察や国立病院機構災害医療センターなど総勢約150人が参加。約100人の被害者が発生したテロ現場で救助活動や化学物質汚染被害を抑える除染作業を行った。

 損保ジャパンのドローン部隊は4人が参加。拡声器を備えた大型ドローンと、カメラを搭載したドローンの2機を現場に飛ばした。ドローン操縦者と離れた場所にある対策本部へ上空からの映像を送ったほか、本部がドローンの拡声器から現場の人に避難の指示などを音声で送るなどした。音声は上空20メートル、状況把握は同30―70メートルから行い、約1時間半の間、何度か電池を交換しながら役目を果たした。

無線環境を維持


 ドローン運営チームによると、無線環境の維持が災害対応時に最も重要になる。損保ジャパンの場合、独自の回線システムを複数用意し冗長性を持たせている。それでも本番でトラブルが発生するリスクはあるという。「こうした本番さながらの訓練は失敗できないから、何よりも勉強になる」(高橋技術部長)。損保ジャパンは東京都と地域の安心・安全や災害、減災活動などで連携するワイドコラボ協定を結んでいる。今後も訓練に積極的に参加して経験を積むほか、社会貢献も果たしていく考えだ。

ドローンが上空から現場を把握

(文=石橋弘彰)

日刊工業新聞2018年2月21日

昆 梓紗

昆 梓紗
02月21日
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今後はドローンの「経験値」を横展開することも求められてきそうです。

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