“CDO”を置いた三井物産、どこまでデジタルな会社になるのか

最高デジタル責任者に聞く「社長が成果を話せるのは20年3月期くらい」

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 三井物産は人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)による既存事業の成長や新規ビジネスの創出を目指し、意見交換するスペース「d・space(dスペース)」を社内に開設した。こうした取り組みをけん引しているのが、2017年5月に設置した最高デジタル責任者(CDO)。今後の戦略と方向性を北森信明CDOに聞いた。

 ―CDOの役割は。
 「三井物産はメーカーではないので、AIやIoTなどのデジタルパワーを使って、既存事業にソリューションを入れ、コストを下げ、売り上げを上げるといったことを目指している。デジタルトランスフォーメーション(デジタル変革、DT)で、ビジネスモデルを根本から変え、三井物産の競争力を上げる取り組みを社内に広げるのがCDOの役割だ」

 ―足元ではどのような取り組みをしているのでしょうか。
 「CDOの設置と同時に、社内に25人程度のDTチームを編成している。チームは兼任で、経営企画部やIT推進部などに在籍している、バーチャルな組織だ。あくまで各営業本部が主役で、チームは脇役。現場の知見を生かすことが重要で、現在、現場から上がってきたアイデアを基に、発電所の故障予知など、実証実験を20―30件実施している。18年中には順次、実用段階に入る」

 ―DTを進める上での課題は。
 「意識が必ずしも高くない部門や部署があり、底上げが課題。ビジネスがうまくいっていると、変革へのチャレンジが弱くなるが、どのビジネスにも絶対はない。デジタルパワーで、今まで考えられなかったようなことができるようになっている。今後は新入社員研修などで、法務や財務と同じように、デジタル変革も学ぶというくらいに、当たり前にしていきたい」

 ―成果はどのように示していきますか。
 「18年からは、いくつか実用的な活用に入り、定量的な結果が出るのは19年くらいではないかと考えている。社長が決算発表などで成果を話せるようになるのは、20年3月期くらいになる」

【記者の目】
大手商社はグループにシステム会社があるものの、本社の中に事業部門として、独立しているところはあまりなく、得意としていなかった分野だ。デジタル変革の取り組みは事業部門間の連携が必要になることも多く、ITビジネスの推進と横連携の促進という、商社が抱える課題を同時に解決できる可能性を秘める。
北森信明CDO

(日刊工業新聞第二産業部・高屋優理)

日刊工業新聞2018年1月29日

COMMENT

八子知礼
INDUSTRIAL-X
代表

現場だけITだけでは解決できないことを、事業部門側とIT部門が一緒に推進するアプローチを、物理的な部屋を用意することで実現しているのが三井物産流。それぞれの事業を横串でつないで行った時にこそ価値あるビジネスに繋がるため、歩みと意識の遅れている部門はアナログな手法ででもテコ入れせざるを得ないのが実態だ。同時に20〜30件進めているという実証実験の今後の成果に期待したい。

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