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“主力事業”不動産でJR九州が見据える福岡の次

田中龍治専務に聞く「海外でサービスアパートメントホテルをやりたい」
“主力事業”不動産でJR九州が見据える福岡の次

ROPPONMATSU421公式サイトより

 JR九州は2017年10月に上場から1年が過ぎ、青柳俊彦社長は「短期的ではなく中長期的にグループが成長できる仕込みを進めている。挑戦が実を結ぶよう頑張りたい」と意気込む。同社は本業の運輸事業以外が売り上げ全体の約6割を占める多角経営。その中でも柱の一つが不動産関連事業だ。その展望について事業開発本部長の田中龍治専務に聞いた。

 ―今年9月に福岡市中央区の六本松地区で沿線外で初めての複合施設を開業しました。
 「ホテルも最初は社有地で建設していたが社有地以外での運営能力と販売能力が高まり九州域外にも進出している。優秀な社員がノウハウを積んできた。六本松も当然やれると思った」

 ―福岡市での今後の開発についての姿勢は。
 「一等地が残っており、オフィスビルで500坪規模のワンフロア需要もある。IT企業は利便性の高い福岡との相性も良い。いろんな発想で物事を考えればアジアを中心に外資系も増えるだろう。福岡市はまだまだ伸びる余地がある」

 ―福岡市中心部の小学校跡地での公募案件に参加意向です。
 「自分たちの力が発揮できると思う。商業やオフィス、マンションなど手持ちのアイテムを使えて必ずやれる。また特区によって航空法の高さ制限が緩和され、高層オフィスビルやホテルが可能になる。みんな挑戦したいはず。市の思いとしては海外から来た方が泊まれる高級ホテルがある」

 ―国内だけでなく海外案件も進みます。
 「タイに不動産開発に関する現地法人を設立し、第1号案件を年内に目指している。サービスアパートメントホテルのようなものをやりたい。タイには周辺の東南アジアやアラブ諸国から多くの方が来て宿泊する。現地で運営することで、どうすれば海外のお客さまが訪れるのか手法が分かる。小学校跡地のオープンは約3年後の見通し。運良く勝てればタイのノウハウが生かせる」
「福岡市はまだまだ伸びる余地がある」(田中氏)

(聞き手=西部・増重直樹)
日刊工業新聞2017年11月28日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
田中専務は手がける事業を“アイテム”と表現。それが最大限効果を発揮できるように緻密に計算して事業開発を展開する。語学力に優れたグローバル人材も育っている。伸びる余地があるという福岡市だけでなくアジア圏の開発など相互に関連し合う戦略に目が離せない。 (日刊工業新聞西部支社・増重直樹)

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