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環境省の情報開示プラットフォーム、参加企業が急増

投資への関心高まる
 環境省が運用する情報開示基盤「ESG対話プラットフォーム」への参加が447社となった。環境・社会・企業統治(ESG)情報を基準とした投資への関心の高まりを背景に2016年度から1・7倍に増加し、17年度の目標である500社が見えてきた。中堅企業の参加が急増しており、ESG投資のすそ野の広がりが期待できる。

 ESG対話プラットフォームは、企業がESG情報を登録し、投資家が一覧できる専用ウェブサイト。企業は情報を見てもらえる機会が増え、投資家は企業から個別に情報を入手する手間が省ける。投資家が企業に質問し、企業が回答できる対話機能が特徴だ。

 16年度はパナソニック、トヨタ自動車など255社がプラットフォーム上で情報を公開した。17年度はこれまでにデンソー、ホンダ、三菱UFJフィナンシャル・グループ、オリックスなどが参加した。

 新規192社の9割を中堅企業が占める。東証株価指数「TOPIXコア30・ラージ70」の銘柄を大企業とすると、新規組はコア30・ラージ70以外の東証一部上場148社が加わった。東証一部以外の上場は16社、非上場14社も参加した。

 同省は17年度、企業が環境や企業の社会的責任(CSR)などの各報告書を掲載するとプラットフォームに参加できるようにした。初めに共通質問へ回答する必要があった16年度よりも負担が少なく、開示に不慣れな企業も投資家との対話機会が持てる。

 中堅企業にはインフラや業務機器を扱う企業が多く、長期視点で成長を応援するESG投資になじみやすい。中堅企業もプラットフォームを活用すると報告書が投資家の目にとまる機会が増え、ESG投資を呼び込める。

 持続的な成長力を備えた企業を選ぼうと、ESG投資が世界的な潮流となっている。投資家も16年度より1・7倍多い279者がプラットフォームに参加した。同省は20年ごろの本格運用を目指しており、企業がESG情報を公開する国内最大の情報基盤とする。
                 
日刊工業新聞2017年11月30日
松木喬
松木喬 Matsuki Takashi 編集局第二産業部 編集委員
大企業と中堅の線引きが難しく、もしかしたら記事に違和感を感じる人がいるかもしれません。環境評価の世界的権威「CDP」は対象500社中約250社の開示なので、ESG対話プラットフォームの方が参加が多いです。ESG情報を開示したい企業が多いのでしょう。環境省の実証事業ですが、ほぼ本格試行段階です。例年は年度末に成果報告会ですが、今年はスタート時(8月)にシンポジウムを開くなど企業に関心をもってもらえる仕掛けをしています。

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