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現代人は寝不足…“睡眠市場”が急拡大!飲料や化粧品など続々

「睡眠不足は誰もが刺さりやすいキーワード」
現代人は寝不足…“睡眠市場”が急拡大!飲料や化粧品など続々

富士フイルムの直営店(東京・六本木)

 健康の3要素である食事と運動と睡眠―。2017年の新語・流行語大賞には、日々の睡眠不足が積み重なり心身ともに悪影響をもたらす「睡眠負債」がノミネートされた。日用品・化粧品メーカーにとって睡眠に関連する市場は大きくはないものの、各社は多様な視点から睡眠にアプローチし、商品を訴求している。

 ライオンは機能性関与成分のGABA(ギャバ)を配合した清涼飲料水「グッスミンGABAのちから」を機能性表示食品として10月に改良発売した。GABAはストレスが緩和するなど寝付きの向上につながるとされる。

 同社ウェルネス・ダイレクト事業本部事業企画部の山崎奉裕主任部員は、睡眠関連市場について「市場としての伸びは大きい。伸び率に着目している」と話す。ライオンは16年にダイキン工業などとプロジェクト「世界睡眠会議」を立ち上げ、睡眠に関する情報を発信している。

 富士フイルムは「17年の健康食品の市場規模は、約110億円で市場全体に対するリラックス・睡眠市場の占有率は1・2%」(ヘルスケアラボラトリーブランド・プロダクトマネージメント部の阪口博之マネージャー)とみている。

 同社は睡眠途中での目覚めを減らす機能性表示食品「飲むアスタキサンチンすっとねリッチクロセチンプラス」を17年2月に発売。阪口マネージャーは「睡眠の質が大切。睡眠薬には抵抗がある人もいるため、機能性表示食品の需要がある」と分析する。

 ポーラ・オルビスホールディングス子会社のDECENCIA(東京都品川区)は、睡眠不足による肌荒れに対応する新処方の理論解明や商品開発に、5年をかけた。10月に美容液「ディセンシーエッセンス」として商品化にこぎ着けた。

 同商品は先行発売で出荷個数が目標比115%超と、順調な滑り出し。同社マーケティング部の浅利晴奈部長は「睡眠不足は誰もが刺さりやすいキーワードで、今の時勢にも合っている」と話す。

 日常生活において睡眠は切っても切り離せない大切な要素で、睡眠に関する悩みは尽きない。15年に機能性表示食品制度が始まり、健康食品における睡眠関連商品は拡大傾向にある。
(文=高島里沙)
日刊工業新聞2017年11月27日
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
家電メーカーなども睡眠市場の獲得に乗り出しています。睡眠の質を上げるのももちろんですが、スマホや長時間労働など睡眠時間を削る要素が増えているのも一因な気がします。

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