夢を多く見る人は高次な脳構造を持っている?

レム睡眠機能の謎に迫る研究人・林悠氏

 人はなぜ眠るのか。睡眠の役割は何か。筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構の林悠准教授は、脳の発達や加齢、疾患に伴う変化、さらには生物の進化という観点から、睡眠がどのような意味を持つのかを研究する。

 東京大学に在学中は、学生時代を通して脳の発達や行動の変化について細胞レベルで研究。その後、博士研究員(ポスドク)に進む際に違う観点から脳発達を研究できないかと考えた。

 「小さな子どもはよく寝るが、加齢と共に睡眠時間は短くなる。加齢によって起きる睡眠の変化の観点から、脳の発達過程を解明できれば面白いと考えた」と睡眠の研究を始めたきっかけを振り返る。

 焦点を当てたのは、夢を見るときに現れる浅い眠りの状態「レム睡眠」だ。深い睡眠状態を指す「ノンレム睡眠」は、睡眠時に成長ホルモンが分泌されるほか、最近はノンレム睡眠中の脳波が全身の代謝に影響を与えることが報告されている。

 一方レム睡眠はまだ謎が多い。レム睡眠は新生児で非常に多く見られるが、加齢と共に減り続ける。さらに、レム睡眠がはっきりと現れるのは高次な脳構造をもつ鳥類と哺乳類のみだという。

 「脳が複雑になる過程で睡眠が複雑になったのかもしれない。加齢に伴う睡眠の変化を、脳の進化の観点からアプローチすることを思いついた」と語る。

 ポスドクの間は、睡眠を操作したモデルマウスの作成に専念していたが、結果はなかなか出なかった。「レム睡眠を制御するニューロン(神経細胞)を見つけるのは雲をつかむような話だった」。

 そうした中でも、「『レム睡眠の機能は重要な設問だ』と自分に言い聞かせ、困難を乗り越えられた」と、研究を続けられた理由を明かす。

 現在は、遺伝子組み換え技術と遺伝子導入技術を組み合わせ、長期的にレム睡眠を抑えたモデルマウスも作成できつつある。逆にレム睡眠を増やしたマウスも開発中だ。今後はこうしたモデルマウスを使った実験で、「発達障害や認知症などの疾患との関連も研究したい」と期待を述べる。

 週末は2人の子どもたちと、生き物を捕るなどして過ごすという。虫や魚に興味を示す子どもたちに、「自分も小学生くらいのときは動物の行動にとても興味があった。そういうところは自分と子どもたちはよく似ている」と笑顔をのぞかせる。子どもの成長を感じることが、研究のヒントにつながっているのかもしれない。
(文=安川結野)

日刊工業新聞2017年9月20日

明 豊

明 豊
09月20日
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あまり夢を見ない方なのだが、昨晩は珍しく夢をみた。出てきたのがなんと日本電産の永守さん。最近、会ってもいないのになぜ?それもとても奇妙な内容で、予知夢でないことを願う。

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