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香り高く、青々としたニッポンの畳の魅力

 新しいほどいいものの代表が「畳」。誰もがイグサ特有の芳香を思い浮かべるだろう。部屋に入るだけですがすがしい気持ちにさせ、足の裏に心地よいぬくもりを感じさせる。

 ところが、あの新鮮な香りは国産のイグサにしかないことを大阪市内の畳屋に教わった。生活様式の欧米化が進む中で、業界の生き残りに努力を傾けている若手経営者である。

 すでに都会のマンションの多くは、和室ばかりでなく仏壇や床の間のスペースがない。エアコンが普及して部屋の気密性が高まるにつれて、調湿性よりアレルギーへの不安から畳は敬遠された。

 ようやく近年、家庭からの注文が増えはじめたという。理由は多彩な品ぞろえだ。最近の畳表は海外産のイグサだけでなく、さまざまな色に加工できる合成繊維や和紙を使う。洋室に敷ける半畳サイズや薄くて縁なしタイプなど、ニーズに応じた商品も登場している。

 用途開発が進む一方で、畳表を返して香りを2度楽しむような伝統的な使い方は、廃れているのかもしれない。日本のイグサ農家の数と生産量は少しずつ減っている。「本物が消えてしまう」と前述の経営者は危惧する。香り高く、青々とした新しい畳の魅力が見直されることを願う。
日刊工業新聞2017年11月15日
明豊
明豊 Ake Yutaka 取締役ブランドコミュニケーション担当
先日、欽ちゃんがTV番組で茶の間の良さを話していて改めて感心した。例えばふすま。「ふすまの開け方一つで人の感情が分かる。なんで日本はこんな良いものを無くしてしまうのか」と。ちゃぶ台も父親の背中が丸くなって家族の会話が身近になる。障子も畳も機能だけでなく日本のコミュニケーションツールなのだろう。

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