西郷のごとく愛にあふれるリーダーはどこに?

勝てば官軍、負ければ賊軍」

 来年のNHKの大河ドラマは西郷隆盛が主人公の『西郷(せご)どん』。「敬天愛人」を座右の銘とした“愛にあふれるリーダー”は、今も多くの経営者に慕われる。

日刊工業新聞の本社がある一帯は明治初め、西郷の屋敷があった。隣接する日本橋小学校の玄関前には〈…維新後、西郷隆盛は郷里鹿児島にいましたが、明治4年(1871)に新政府から請われて上京し、参議に就任…〉とある説明板が設置されている。

政権争いに敗れて2年後に下野するまでここから政府に出仕した。広大な屋敷に書生を15人ほど住まわせ、自身は長屋の一角で起居したという。

生涯に2度の政権転覆を企て、1度目の倒幕は成った。だが新政府への「尋問の筋これ有り」を大義に決起した西南戦争には敗れ、明治維新の功労者は城山で自刃した。〈天下の道徳を害したるものにあらず〉―。その年、敗者に厳しい世論の中で、福沢諭吉は一面識もなかった西郷を擁護する小論を書いた。

 衆院選の投票が締め切られた。政府の政権維持の思惑と、野党の批判の交錯する大義なき選挙戦は「勝てば官軍、負ければ賊軍」の様相を呈している。西郷のごとく愛にあふれ、民衆を惹きつけるリーダーは残念ながら見当たらない。

日刊工業新聞2017年10月19日の記事を一部修正

明 豊

明 豊
10月22日
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日本に限らず世界を見渡しても民衆を惹きつけるリーダーは大概、悲劇的な結末を迎えるケースが多い。

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