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武芸ではなく知略で乗り切る。伊達政宗公に学ぶ

 東北を代表する戦国武将として“独眼竜”の名で知られる伊達政宗が今年、生誕450年を迎えた。初代仙台藩主だが、今の山形県米沢市で生まれ、70年の生涯のうち24歳まで過ごした。

 米沢市で毎年行われる「田んぼアート」は今年、馬上姿の「政宗公」を水田に描いた。高台から見下ろすように下絵を描き、異なる品種の稲を植えて5色に塗り分ける。実った穂は先日、刈り入れられた。

 仙台市博物館で今月から11月27日まで開催中の「大政宗展」を見た。政宗が使った具足や茶器、豊臣秀吉から拝領した刀、関ケ原合戦当日に徳川家康から届いた手紙など、館蔵資料をはじめ各地から関連文化財230件を集めた。

 伊達者という言葉通り、秀吉に初めて対面した際は白装束で現れ、朝鮮出兵の出陣式ではきらびやかな衣装をまとった。江戸時代に入り、二代将軍の徳川秀忠や三代・家光らを自ら手料理で接待し「馳走とは旬の品をさりげなく出し、主人自ら調理して、もてなすことである」との言葉も残す。

 家臣の支倉常長を欧州に派遣するという類いまれな国際感覚・起業家精神も備える。武芸に秀でたというよりは、知略をめぐらせて国難を乗り切った先人がいたことを忘れずにいたい。
日刊工業新聞2017年10月13日
昆梓紗
昆梓紗 Kon Azusa デジタルメディア局DX編集部 記者
国際感覚・起業家精神は現代でも学ぶところがあります。

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