衆院選あす公示。経済界、“悪夢”に身構える

「夢は必要だが現実的な解を出すこと」

  • 0
  • 0
財政再建の行方はどうなる・・・
 22日投開票の衆院選の公示日を10日に控え、主要政党の公約が出そろった。「アベノミクスの加速」と財政再建に不可避の消費増税の堅持を掲げる自民、公明両党に対し、小池百合子東京都知事が代表を務める希望の党や日本維新の会は「消費増税の凍結」を訴える。立憲民主党も「現時点の増税に反対」だ。中でも希望の党は「2030年までの原発ゼロ」や「大企業の内部留保への課税」など企業活動の制約につながる経済政策が目立つ。経済界は各党の舌戦を注視しつつ、骨太の政策論争を期待する。

 「ポピュリズム(大衆迎合)的な主張がみられ全体像が見えない」―。日本商工会議所の三村明夫会頭は5日の記者会見で、希望の党が掲げる「原発ゼロ」について「夢は必要だが現実的な解を出すことも政治には必要」と注文をつけた。

 支持政党を公言しない経済界だが、自民党を中心とする長期安定政権を望んでいるのは明らかだ。とりわけ経団連は、民主党(現民進党)政権下で政策が混迷した“悪夢”再来に身構える。

 会長経験者のひとりは「改革が進まない悔しさ、空しさは骨身にしみている」。榊原定征会長も3日の記者会見で当時を振り返り「政治は混迷の状態にあり外交は破壊し経済は低迷した」と珍しく語気を強めた。

 ただ、経済成長と財政健全化の“二兎”を追いかけてきた「アベノミクス」が十分に機能したとも思っていない。榊原会長は、伸び悩む個人消費や2%の物価上昇目標からほど遠い現状を念頭に「企業収益の増加や雇用改善といった成果を踏まえ何が足らないか評価するべきだ」と問題提起する。

 自民党が打ち出した消費増税の使途変更に対しても現実的な判断との声が聞かれる一方、具体策については見解が分かれる。日商の三村会頭は幼児教育・保育の無償化など新たに必要になる財源は、消費税率10%への引き上げ時に導入予定の軽減税率の廃止で賄えるとの持論を示す。その軽減税率の導入を公約に掲げるのは公明党だ。

 安倍晋三首相は衆院選の勝敗ラインを与党で過半数の議席獲得とする。経営者のひとりは「二項対立的な構図で物事を捉える風潮ばかりが強まり、政策論争が深まらないことが最も心配だ」と語る。

日刊工業新聞2017年10月9日

COMMENT

神崎明子
デジタルメディア局
編集委員

安倍首相が推進する経済政策に対抗し、希望の党の小池百合子代表が公約で打ち出した「ユリノミクス」。経済界はこれをどう受け止めているのか。

関連する記事はこちら

特集