ジャパンディスプレイに招聘された元アクア社長「評論家になりたくない」

伊藤CMOインタビュー「“ウォンツ”を提案できるようにしたい」

 ジャパンディスプレイ(JDI)は、10月1日付で新経営体制を発足した。その中での注目人事が、執行役員兼最高マーケティング責任者(CMO)に招聘(しょうへい)した伊藤嘉明元アクア社長だ。家電など主にBツーC(対消費者)業界で大胆なアイデアと急速な経営改革を実施してきた伊藤氏は、JDIにどんな化学反応をもたらすのか。今後の施策などについて聞いた。

 ―なぜCMOを引き受けたのですか。
 「JDIには世界最高峰の技術が複数あり、組み合わせれば革新的なことを実現できる。我々が知っている以上に潜在性があり、魅力を感じた。外からJDIを見ており、厳しい状況も認識している。引き受ける前は相当考えたが、批評家や評論家にはなりたくなかった。『それなら自分が利益向上に役立とう』と決意した」

 ―JDIの課題をどうみていますか。
 「スピード感と、着実に実行する点が不足している印象を受ける。マーケティングの面では、これまでは顧客の細かいニーズもとらえられる体制ではなかった。カンパニー内にマーケティング部隊を設置してニーズをとらえられる体制を整え、その上で(ニーズを満たす手段である)“ウォンツ”を提案できるようにしたい」

 ―CMOの役割は。
 「各カンパニーのマーケティング部隊と連携し、カンパニーがカバーする市場以外のブラインドスポットを埋める。神奈川県海老名市にある研究拠点の開発者や技術者と対話しているが、私の考えを理解し共感して『やりたかった』と言ってくれる社員も多い。分野に限らずやる。新しいビジネスモデルの構築も進めたい」

 ―例えば。
 「他の企業と協業して新たな製品やサービスを作り、そこに課金してもらうビジネスを考えている。JDIは単なる部材メーカーではなく『インターフェースメーカー』だ。アクアにいた頃『欲しい』『製品に乗せたい』と思っていた技術がJDIにはある。我々のディスプレーがなければできない製品であれば、こういったことも十分可能だろう」

 ―成果が見えてくるのはいつ頃ですか。
 「年内には何らかの形で示したい。小さくても成功事例を積み重ねることで、革新につなげていく」

日刊工業新聞2017年10月2日

政年 佐貴惠

政年 佐貴惠
10月02日
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東入来信博会長兼最高経営責任者(CEO)と意気投合したという伊藤氏。これが経営への参画のきっかけになった。異分野の業界にいたからこそできる新たな視点に期待が集まる一方で、求心力を発揮できるかが課題となりそうだ。新経営体制でJDIがどう変わるのか、先行きが注目される。

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