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新型アウディ「A8」のナビを守るカバーガラスは日本製

旭硝子が3次元曲面加工
新型アウディ「A8」のナビを守るカバーガラスは日本製

車載ディスプレー用カバーガラス

 旭硝子は独アウディが近く発売を予定する高級乗用車「A8」の新型車に車載ディスプレー用カバーガラスが採用された。二つの車載ディスプレーのうち上部にあるナビゲーション情報などを表示する10・1インチの大型ディスプレーに、曲面カバーガラスが使われた。曲面カバーガラスが量産車に搭載されるのは業界初。旭硝子独自の3次元曲面加工技術を使った滑らかな形状、素材から加工まで一貫生産する高い品質が評価された。

 下部のシステム操作用ディスプレーには平面カバーガラスが使われた。ディスプレーへの映り込みを抑え、操作時の指紋をつきにくくする光学成膜工程も採用につながった。

 旭硝子の日本拠点で製造し、ディスプレーメーカーなどに順次供給を始める。
日刊工業新聞2017年9月15日
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
 経産省は2015年6月、旭硝子、日本板硝子、セントラル硝子の国内板ガラスメーカー3社に対して、過剰設備の統廃合を求める報告書を公表した。特定の業界に生産設備の削減などを促す「産業競争力強化法」に基づく措置。3社は板ガラス事業の利益率の引き上げを喫緊の課題に抱えつつ、再編には慎重だが、共通して強調するのは製品の「高付加価値化」だ。  旭硝子は自動車用ガラスを成長分野に位置づけ、高機能品の開発に積極投資するほか、建築用ガラスでも付加価値品の拡販を進める。収益性を示す株主資本利益率(ROE)を17年度に5%に引き上げる計画を掲げる。売上高全体の5割を超えるガラス事業の収益強化は計画の成否を大きく左右する。  旭硝子の高機能品で販売を伸ばすのが、独自の自動車用の紫外線(UV)低減ガラス。ガラスの組成を生産段階で調整するなどし、これまで不可能だった単層ガラスでUV低減を業界で初めて実現した。単層ガラスはUV低減ガラスに多く使う合わせガラスより軽く、燃費改善を進める自動車メーカーへの訴求力は高い。トヨタの高級ミニバンのリア用ガラスに採用された。 (日刊工業新聞第二産業部・小野里裕一)

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