ネット証券に手数料無料化の波、SBIや楽天が10万円以下に適用

成功モデルは果たして?

 インターネット証券会社が国内株式の売買に伴う手数料引き下げを相次いで打ち出している。SBI証券と楽天証券は9月から10万円以下の約定代金については、それぞれ手数料の無料を決めた。既に無料化している松井証券を猛追する。手数料改定をきっかけに若年層を中心に投資を始めやすい環境をさらに強化し、貯蓄から資産形成の流れを後押しする。
 SBI証券は、1日の約定代金合計額に対して手数料を決めるサービスの中で、10万円以下の場合は9月4日から無料にする。現物・信用取引ともに対象。従来は96円(税抜き)だったが、無料化で顧客サービスを高める。

 楽天証券も1日の約定代金に応じて手数料を設定するサービス「いちにち定額コース」の手数料を9月1日に改定する。従来は50万円以下であれば税抜きで一律429円だったが、10万円以下であれば無料にするほか、20万円までは191円、30万円以下は286円と細かく改定する。

 一方、松井証券は2社に先立ち、2004年から10万円以下の手数料を無料にしてきた。既に10年以上先行している同社だが、2社が追随してきたことで「(顧客側の)選択肢が増えることになるので、新規顧客の獲得の競争は激しくなるだろう」(広報)とも話す。

 振り返ると株式の取引手数料は90年代後半の完全自由化をきっかけに、段階的に引き下げられてきた。特に同時期に事業を始めたネット証券は顧客を獲得するため、手数料の引き下げを相次いで実施。この結果、顧客は対面証券からネット証券に流れ、今や個人投資家の約90%がネット証券を利用するまでになっている。

 既に低水準で落ち着いてきた手数料だが、引き下げの流れをさらに後押ししたのが官民で推進する「貯蓄から資産形成」への流れ。

 現状、株式投資を手がける大半が中高年齢層で、若年層をいかに取り込めるかは証券業界共通の課題。手数料が株式投資の唯一の判断基準ではないが、少額投資でも無料化されれば、若年層が投資を始める環境が整備されやすくはなる。

 価格競争が激しいネット証券では、手数料体系のわずかな差も競争上、不利になりやすい。このため、3社以外の他のネット証券でも手数料改定の動きが波及する可能性がありそうだ。
(文=杉浦武士)

日刊工業新聞2017年8月23日

安東 泰志

安東 泰志
08月23日
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ネット証券は、まずは口座数を増やすことから始めないと成功は覚束ない。松井証券など先行組は、その上で信用の金利で稼ぐモデルであり、少額の売買手数料を追っていない。

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