東芝、「会長と社長」入れ替えの狙い

意思決定をもっと迅速化

車谷会長(次期社長)と綱川社長(次期会長)

東芝は車谷暢昭会長兼最高経営責任者(CEO、62)が4月1日付で社長兼CEOに就任する人事を決めた。綱川智社長(64)は代表権のない会長に就く。2020年度は経営再建から成長を目指す段階へ変わる。車谷氏のワントップ体制とすることで、迅速な意思決定を実現し、事業の執行責任を明確にする。 同社に社外出身の社長が就任するのは48年ぶり。三井住友銀行出身の車谷氏が18年4月に社外から招聘(しょうへい)されて以来、綱川氏は主に車谷氏と社内の橋渡しとして調整役を務めてきた。車谷氏はCEOとして、経営再建計画の目標達成に向け、IT関連など柱となる事業を早期に成長軌道に乗せる必要がある。 新体制では綱川氏は執行役から外れる。代表権をもつ執行役は東芝生え抜きの役員が昇格し、車谷氏を含む5人となる。綱川氏は今後、経営の監督に専念するとともに、社外活動を担当することになる。 ―TOB(株式公開買い付け)を実施中の上場子会社のニューフレアテクノロジーに対して、HOYAからもTOBの表明がありました。 「ニューフレアは当社が過半の株式を持つ子会社で、しっかりとした親会社のいる会社に対して普通はTOBしない。疑問だし、少し無理筋に感じる。ニューフレアの技術開発には東芝から大量の技術者を送っており、HOYAなど他社に買収されてもニューフレア単独では技術開発ができない。ニューフレアの特別委員会が客観的にどう考えるかが重要だ。会社を維持・成長させるためには、買い取り価格が少し高いからといって会社をダメにする判断はできないはずだ」 ―上場子会社3社へのTOBを決めましたが、残る東芝テックの扱いはどうしますか。 「東芝テックはもともと東芝グループではなかった。今でも単独で生きており、かなり独立性が高くて利益相反の問題もない。東芝テックが持つデータは東芝グループの宝だ。しかし、100%子会社化しないと、そのデータを活用できないわけでもない。問題を検討中だが、東芝テックが引き続き上場していてもおかしくはない」 ―2020年の見通しは。 「20年は復活の年にしたい。収益も他社に近くなり、バランスシートもきれいになれば、誰からも普通の会社と認めてもらえるはずだ。また、東証1部復帰の問題(現在は2部)は東証次第だが、チャンスがあれば当然チャレンジしていく」 ―日本の大企業でありながら、海外の投資ファンドや金融グループが大株主に多く名を連ねています。経営の難しさを感じますか。 「アクティビスト(物言う株主)でももうかればいい。東芝の改革スピードを見て、短期利益よりバリュー投資家のように3―4年待つ方が利益を大きくできると分かればアクティビストも待つ。私の戦略は彼ら・彼女らをバリュー投資家に変えることだ。うちの株主は誰も売っていない。東芝の未来に一番期待しているのはアクティビストだ」 “普通の会社”に戻った東芝にとって、次の大きな課題は成長だ。高リスク事業の売却や人員削減でいっときの経営危機を脱しつつあるが、まだ説得力のある成長戦略を打ち出せていない。縮小均衡に陥らず、再び成長路線を走れるか。「復活」を内外へ印象づけるには、1にも2にも成長への確かな期待と実績しかない。(聞き手・鈴木岳志) <関連記事> ● ●

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